左利きグッズ専門店店主 x 1万人の脳を見た医師が「左利き脳」を語る

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左脳の役割を右脳でカバーする


浦上:ある意味、左脳のパワーを右脳でカバーするということですよね。

加藤:そういうことですね。つまり右脳は、もともと注意を向けることに、すごく関係しているんです。だから左手を使うことによって、目の前の視野に非常に注意がいく。ですから左利きの人は、意外に右側も注意してるんですよ。これは恐らく、本人、一人ひとりは自覚がありません。人はみんな、自分と同じように注意を向けていると考えるからです。でも、ちがうんです。右利きの人は、右側により注意を向けてる意識はなく、でも実際は左側を見逃しやすいんです。

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私の場合は、強い左利きを書字だけ右手に自分で矯正しました。しかし、空間への注意は両サイド意識が強く、やはり左優位です。以前、食事の時は右手に矯正していたのですが、最近は、空間への意識を右側に強く向けたいときだけ、右手にしています。

浦上:なるほど。スポーツ選手でも右利きなのに、左手を使って訓練して空間能力を高めてる人って結構いるんですよ。私が知ってるのは、ソフトボールの上野由岐子投手や宮里藍選手。宮里藍選手は、右で100回打ったら、左で30回打つそうです。そうすると左右のバランスができると。

あと、すごいのがダルビッシュ有選手なんですよ。動画で見たんですけど、左投球でも直球130キロぐらい投げ、変化急もすごく曲がるだけでなくコントロールもいいんですよ。左投球については、体のバランスを鍛えるためというコメントでした。でもやっぱり、空間能力もすごく高いんですよね。

左利き、右利きの違いとはずばり「脳の違い」


左利きは右脳、右利きは左脳が発達しており、それぞれの脳は働きが異なります。それはつまり、利き手によって得意不得意も、思考や性格でさえ変わるということ。

言い換えれば、左利きは「10人に1人の脳」を持つ「選ばれた才能」の持ち主と言えるのです。

『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』では「右脳が得意なこと」=「左利きの才能」として、さまざまな「すごい」について、最新脳科学をもとに解説していきます。利き手と脳のおもしろさが満載の1冊です。

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加藤俊徳(かとう・としのり)◎左利きの脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。 「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。 発達脳科学・MRI脳画像診断専門家。1991年に、現在世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。「海馬回旋遅滞症」を発見。「脳番地」「脳習慣」「脳貯金」など多数の造語を生み出す。著書に『脳の強化書』(あさ出版)、『脳とココロのしくみ入門』(朝日新聞出版)、『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『大人の発達障害』(白秋社)など多数。

加藤プラチナクリニック公式サイト 
脳の学校公式サイト 

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浦上裕生(うらかみ・ひろお)◎左利きグッズ専門店として数多くのメディアで紹介される「菊屋浦上商事」文具店三代目。メーカー数社と左利き商品の充実を目的とした「レフティ21プロジェクト」代表。2021年11月、地域団体「SDGsコネクトさがみはら」設立。相模原事務用品協同組合代表理事。

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構成=吉田瑞希

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