ビジネス

2021.12.22

メルカリは「物流」で何をする? 野辺一也CEOが明かす野望


課題は「梱包」と「発送」


メルロジは、集荷物流網を強化すると同時に、顧客体験を向上させる付加価値の提供にも取り組む。かねてから顧客体験に関する課題はあり、主に「梱包」や「発送」といった作業の難しさからくるストレス軽減に向けたアプローチをしてきた。

2020年6月には新宿マルイ本館に、アプリの使い方を学び出品も体験できる「メルカリステーション」をオープン。現在は全国に11店舗を展開しているが、2024年末までには、メルカリポストなどと合わせて全国8000カ所への拡大を目指している。

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メルカリステーション内には、メルカリポストの設置はもちろん、出品したい商品を撮影・梱包できるブースや、商品を置くだけで最適な梱包資材を提案してくれる機器も設置。売れた商品をその場で発送できる次世代型ワンストップ端末「メルカリポストプラス」もあり、出品者の発送のハードルを下げている。

野辺は、メルカリステーションを運営するなかで、ユーザーの梱包や発送に関する悩みを改めて実感したという。例えば、大型家電や家具などは、発送の難しさから出品を躊躇してしまうユーザーもいることに気付いた。

そこでメルロジが新たに取り組むのが、売れた商品を未梱包のまま店舗に持ち込むだけで発送まで行う「梱包レス発送サービス」の実現だ。メルカリステーションなどのタッチポイントで売れた商品を預かり、梱包や発送手続きを代行する。

すでに、2021年4月から実証実験中で、本格導入に向けて調整を進めている。手数料の設定額は未定だが、「出品を促進するためのサービスなので、利用を躊躇してしまうような金額設計では本質からずれる。競合より高くなることはないでしょう」と野辺は言う。

こうした新たな取り組みは、ユーザー1人あたりの利用金額や出品機会の増加に直結するが、循環型社会への寄与という面も大きい。

「データに基づいた効率の良い集荷ができれば、無駄に車を走らせず、CO2の削減につながります。また、すでに導入している『繰り返し使える梱包発送資材』をさらに発展させて、梱包そのものをなくすことにも挑戦していきたい。メルカリステーションなどを拠点に、商品の購入者に未梱包の商品を取りに来てもらうことで、未梱包のまま渡すことも可能になります」
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文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨 撮影=杉能信介

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