300ドルの児童手当停止で米国経済は失速、ゴールドマンが予測

ゴールドマン・サックス最高経営責任者 デイビット・ソロモン(Getty Images)

米国では現在、推定6500万人が子供一人あたり最大300ドルの税額控除を毎月受け取っている。ゴールドマン・サックスは、議員らがこの制度の延長を承認しない場合、経済回復が遅くなると警告した。

民主党のジョー・マンチン上院議員は12月19日、バイデン大統領の「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)」計画を支持しないと発言したが、その主な理由としてこの税額控除を挙げていた。

ゴールドマン・サックスのエコノミストのヤン・ハツィウスは、19日夜の顧客向け資料で、マンチン上院議員の不支持の表明を受けて、クリーンエネルギーの促進や中流世帯の減税などを含む約1.8兆ドル(約196兆円)の支出を提案する民主党の経済対策案が、完全な形で成立する見通しが消滅したと述べた。

ハツィウスによると対策案は部分的に成立するかもしれないが、「最も重要な要素」である児童の税額控除は12月31日で期限切れを迎え、6500万世帯が現金を受け取れなくなることで、短期的な経済見通しに打撃がもたらされるという。

ゴールドマンは、新たな妥協案の交渉には数週間がかかる可能性が高いことから第1四半期のGDP成長率が3%から2%に低下すると予想している。これは、パンデミックの影響が大きかった2020年第2四半期以来の低水準という。

ハツィウスは先週、議会が仮に年明けに税額控除を延長したとしても、財務省が1月と2月の支払いを期限内に行う可能性は「低い」と述べていた。バイデン政権は、過去にさかのぼって支払いを行うことを検討していると報じられたが、マンチン上院議員の反対によって、その可能性は低くなっている。

マンチン上院議員は20日のラジオのインタビューで、就労者のみが税額控除を受けるべきであり、毎月支払いを受けるのではなく、税金の還付金として受け取るべきだと主張した。

バイデン政権は、パンデミックによる貧困対策として、これまで年間で最大2000ドルだった6歳以下の子供一人あたりの税額控除を、3600ドルに引き上げた。通常であれば、税額控除は、年末に還付金として受け取るものだが、政府はより早く家庭に資金を届けるために、2021年の控除額の半分を毎月支払うようになった。
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編集=上田裕資

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