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2022.02.07

無人コンビニという新市場 レジなし「ローソンGO」も

マンション向けに特化した『Store600』(画像提供:600)

大手コンビニエンスストアを中心に「無人コンビニ」への取り組みが拡大している。

2017年に経済産業省がコンビニ各社と「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表したことに後押しされる形で、小売業界のDXは急速に加速しつつある。ここでは、企業の具体的な取り組みを例示しながら、非接触型小売店市場(無人コンビニ市場)の現状について紹介する。


急成長する非接触型小売店市場


『非接触テクノロジー実装戦略』(日経BP、2021年3月発行)によると、「非接触ソリューション」の中で「無人店舗型・無人決済店舗型」の市場規模は約2兆円。最も市場規模が拡大すると予測されているのは、「進入退出ソリューション」で約2.8兆円となる。

2016年には『Amazon Go』、2019年にはセブン‐イレブン・ジャパンで「レジなし店舗」の模擬出店が実現。2020年にはローソンが『ローソンGO』の実証実験を開始し、2021年にはファミリーマートが郵便局内での省人化店舗を出店した。それぞれデジタル協業先であるNTTデータ、富士通、TOUCH TO GOのソリューションをうまく取り込み、既存の店舗運営から大きく舵を切る形で無人コンビニへの取り組みを行っている。

無人コンビニ市場の拡大は、これらコンビニ各社にとっても人材不足解消、在庫管理の省コスト化といったメリットがあるが、利用者にとっても混雑時のレジ待ち時間解消など利点は多い。

コンビニがオフィスにやってくる? 自動販売機型・無人コンビニ『600』の進化


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オフィス向け無人コンビニ『600』(画像提供:600)

無人コンビニは、自動販売機型の什器をオフィスに設置する、いわゆる「オフィスコンビニ」型から、接客担当者が不在の「無人店舗」型のものなどさまざまな形が試みられている。そんな「オフィスコンビニ型」の一つ『600』は「商圏50m以内」をコンセプトに作られた無人コンビニだ。オフィスやマンションエントランス等に設置可能な、幅約60cm、奥行約55cm、高さ約175cmの冷蔵ショーケースで、混雑する昼食時などにわざわざ店舗を訪れることなく必要なものを購入できる。

利用者はケースに取り付けられたカードリーダーにクレジットカードを通してケースを開錠、中から好きな商品を選んで購入を確定させるだけ。ケース本体のリーダーが商品に張り付けられたICタグを読み取り、データベースから商品を自動検出、購買データ・在庫データと紐づけて更新する仕組みだ。

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決済の様子(画像提供:600)

取り扱い品目は、菓子類、カップ麺、サンドイッチ、おにぎり、飲料、文房具と幅広く、1回に取り扱える品目はおよそ100品。コンシェルジュとやり取りすることで、利用者の個別ニーズに合わせた商材に都度入れ替えが可能で、週に2回程度の補充作業も依頼できる。

サービスを展開するのは、LINE Payの立ち上げなどに寄与した久保 渓氏が2017年に立ち上げたスタートアップ企業、『600』。『600』は2018年6月のリリース以降順調に導入台数を増やし、2021年2月には1500台を突破した。
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文=アステル 編集=石井節子

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