アフリカリーナが拠点とする南アフリカでは、国の支援が限られているという現状があるが、セネガルやチュニジアでは、政府もスタートアップ支援に力を入れつつある。サミット初日には、「スタートアップにとって政府の支援は本当に必要か」と題されたパネルディスカッションが行われた。
ファシリテーターは、人事関連サービスなどを展開するFuraha Africa Holdingsの代表であり、南アフリカの起業家支援団体SiMODiSAの副議長なども務める南アフリカ人“起業アクティビスト”のマツィ・モディセ(Matsi Modise)。彼女は現在、南アフリカにおけるスタートアップ法成立に向けたロビー活動に力を入れている。
パネルではチュニジアのスタートアップ・エコシステム形成に向けて活動するアジザ・イヌーブリ(Aziza Inoubli)と、セネガルで同様の活動を展開するカリーヌ・ヴァヴァスー(Carine Vavasseur)らが登壇し、各国のスタートアップ法施行の成功事例などを紹介した。
左から、アジザ・イヌーブリ、マツィ・モディセ、ズレ・ヴーレン、カリーヌ・ヴァヴァスー (c) AfricArena
ヴァヴァスーは、スタートアップは無論、政府の支援を必要とするが、その関係性は一方通行的なものではなく、アフリカ各国の政府も、国の成長・未来のためにスタートアップを必要としていると論じた。
今年、セネガルではフィンテック企業であるウェーブ(Wave)がシリーズAラウンドで2億ドルを調達。評価額17億ドルで、フランス語圏アフリカでは初となるユニコーン企業となった。こうした成功事例は、エコシステム構築にとって重要な意義を持つ。
アフリカ人投資家が足りない
アフリカリーナのメインサミットや、主に投資家向けに開催されたアンカンファレンスの場において、しばしば議論されたテーマが、アフリカのスタートアップは自国で登記すべきか、海外(米国)で登記すべきかどうかいう問題だ。「デラウェア州もアフリカの国か」と題されたセッションの内容を紹介したい。
南アフリカのVCのパートナーであるドイツ出身の投資家アンドレア・ボーマート(Andrea Böhmert)は、登記の場所は企業のビジネスモデルや戦略次第だと言う。事業の根幹が自国で、主要市場も自国である場合において、例えば、自国での資金調達の際に米国での登記は障害となる。プロダクトやサービスが自国独自の課題解決に特化したものである場合、スケールを重視する海外VCからの資金調達は難しい。