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2021.12.21

米フォーブスが選ぶ、2021年版「フィンテック50」

「Marqeta」創業 者のジェイソン・ガードナー


REAL ESTATE 不動産


コロナ禍以前から存在感を高めていたCadreをはじめとする不動産売買サービス。オンラインで評価・購入できる利便性が消費者の心を捉えた。

Divvy Homes ディビー・ホームズ


デジタル版不動産会社。低所得者でも住宅を購入できる仕組みを提供する。顧客に代わって住宅を購入。同社が契約一時金と家賃の一部を積み立てることで、3年後に顧客は最大10%の自己資本ができる。

Cadre カードレ


富裕層向け不動産オンライン・プラットフォーム。資金調達、データ分析による案件の発掘、商業施設や集合住宅の株式売買のサポートなど。共同創業者兼CEOライアン・ウイリアムズ。

Roofstock ルーフストック


不動産投資マーケットプレイス。初めての投資家からグローバルなアセットマネジャーまで、誰でも戸建て賃貸住宅を評価、購入、所有できるようサポートする。また、プロが管理する住宅の株式も販売する。

Blend ブレンド


住宅ローン関連のソフトウェアの開発を行う。かつては山のような書類、メール、ファックス、電話のやりとりなど、申請から決済までには数週間から数カ月を要した住宅ローン。それが、ブレンドのソフトウェアを使えば、ほぼすべてデジタルで完結できる。融資1件につき、平均で7.3日の所要時間短縮と520ドルの事業コスト節減が実現したというデータもある。

開発したのは、イラン出身のニーマ・ガムサリ(35)。スタンフォード大学出身で、卒業後はビッグ・データを取り扱う企業に入社。26歳のときに退職し、2012年に「ブレンド・ラボ」を立ち上げた。

ブレンドはクレジットスコアでは「コアロジック」、決済アプリと銀行口座の連携では「プラッド」、位置情報では「グーグルマップ」と一体化している。これにより銀行は、マイホームの購入を希望する人の住宅ローンの承認を、マウスを何回かクリックするだけで暫定的に出すことができる。これは極度に過熱した住宅市場で大きくものをいう。

だが、ブレンドは住宅ローンや銀行との取引に安住してはいない。19年には住宅所有者保険や住宅担保ローン、自動車ローンの手続きのペーパーレス化を図るソフトウェアを発表し、住宅建設の「レナー」が住宅ローンの提供に利用している。3月には、権原保険と決済を手がける「タイトル365」を4億2200万ドルで買収することに合意した。住宅ローン決済サービスを増やして保険料収入を確保するためだ。「10年後には、金融は完全にデジタル化され、リアルタイムで臨機応変なサービスが可能になっているだろう」(ガムサリ)

WALL STREET & ENTERPRISE ウォール街&企業


働き方改革やコロナ禍、サイバー攻撃。著しく変わる金融業界の環境を「リスク管理」の観点から側面支援する企業も出てきている。他業界にも広がるはずだ。

Trumid トゥルーミッド


社債取引のオンライン・プラットフォーム。創業者兼CEOのロニー・マテオは、金融市場で20年以上の経験をもつ。

同社のプラットフォームでは、世界中のトレーダーが市場全体に向かって米ドル建ての社債を公告して入札を募ることができる。かつては成約までに、見積もりの依頼に電話やインスタント・メッセージのチャットで何度もやり取りし、限られたネットワークや仲間のつてに頼り、過去の優良取引を掘り起こしてくる必要があった。

だが、トゥルーミッドのプラットフォームでは、売買注文のマッチングはマウスを2、3回クリックするだけ。この画期的な仕組みが功を奏し、同社が構築した近代的なオンライン市場にトレーダーが集まりつつある。

債券市場の専門家以外にはほとんど知られていないトゥルーミッドだが、ウォール・ストリートでは金融工学の創造的破壊者として最も目が離せない存在のひとつへと急成長しつつあるのだ。

トレーダーは同社のプラットフォームで2万2000もの銘柄を物色できる。以前であれば、通常は取引価格が伏せられたままで、情報に乏しい業者は抜け目のない業者に損をさせられる場面もあった。不透明だった債券取引だが、トゥルーミッドがデジタル化したことで透明性が増した。

透明性と効率性が高まったことでさまざまな資産クラスのユーザーが増え、流動性も出来高も大きくなっている。

市場が活性化することは、どのレベルのユーザーにとってもポジティブに働く。ひいてはプラットフォームの価値を高めることにもなるかもしれない。

Addepar アデパー


ポートフォリオの追跡、分析を行うクラウドベースの資産運用プラットフォームを提供する。直感的な操作でニーズに合ったポートフォリオレポートの作成が可能。顧客は大手証券会社など約600社。

Carta カルタ


非上場企業とその投資家、従業員が株式や所有権などのキャップテーブルをリアルタイムで把握できるようクラウド上で追跡する。最近、ユニコーン企業の従業員が持ち株を売却する仕組みを立ち上げた。

Behavox ビヘイヴォックス


コンプライアンスソフトウェアを提供する。メールやチャットのデータをスクリーニングし、音声通話を追跡する技術でトレーダーの監視などが可能。創業者兼CEOエルキン・アディロブ。

edit by Jeff Kauflin and Janet Novack Reported By Maria Abreu, Nina Bambysheva, Margherita Beale, Jason Bisnoff, Michael Del Castillo, Steven Ehrlich, Antoine Gara, Eliza Haverstock, Jeff Kauflin, Jonathan Ponciano & Kristin Stoller | illustration by

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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