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2021.12.21 07:00

米フォーブスが選ぶ、2021年版「フィンテック50」


PAYMENTS 決済サービス


フィンテックブームの先駆けとなった決済サービス。StripeやPlaid、Marqetaといったスタートアップが時代遅れの金融インフラを刷新しようとしている。

Forter フォーター


Eコマースでのオンライン詐欺など不正検知サービスを提供する。応募超過となった3億ドルの資金調達ラウンドを完了したばかりだが、その資金で機械学習を活用したオンライン詐欺検出ビジネスのさらなる拡大を目指す。

パンデミックの影響で、Eコマースは急拡大したが、米国勢調査局の最新データによれば、2020年のEコマースの売り上げは米国内だけでも前年比32.4%増となり、それに比例して詐欺も急増した。例えば、自動化されたマイレージやホテルのポイントサービスに関連した詐欺が急増し、比例してフォーターの顧客も約70%増加、20年の年間収益は約1億1600万ドル(約126億円)と前年のほぼ2倍になった。

13年にニューヨークで創業した同社は、従業員300人。アルゴリズムが何千ものデータポイントを分析し、カスタマーサイトで行われる個々の決済や返品、ロイヤリティポイントの交換などを「包括的に」評価する。通常は、顧客企業の不正検知プログラムに代わるものとして採用されているが、従来のプログラムでは一般的な基準に当てはまるか否かで判断されるため、不正行為が横行している国に住む潜在顧客は取引を拒否される可能性がある。

共同創業者兼CEOのマイケル・ライブラッドは、「オンライン詐欺を一括りに扱いたくない。すべては状況次第だからこそ、すべての善人に確実に道が開かれるようにしたい」と話す。

顧客はデジタル経済全体に広がっており、その中にはノードストロームやセフォラ、インスタカート、バーガーキングといった有名企業が名を連ねている。

Stripe ストライプ


小規模オンライン事業者からアマゾンやズームまで、さまざまな企業に100カ国以上での簡易決済サービスを提供する。同社の顧客がユーザーに銀行口座を提供するBanking-as-a-Serviceの提供を始めた。

Arcus アーカス


デジタルウォレットやオンライン決済を提供。米大陸のすべての企業と消費者の決済を可能にするサービスを目指す。ウォルマートのデジタルバンキングアプリはアーカスを通じてメキシコでサービスを行う。

Bolt ボルト


Eコマース向けモバイル対応チェックアウトソフトを提供。不正防止機能とロイヤリティプログラムが組み込まれ、チェックアウト効率化でシームレスな購買体験を実現、コンバージョン率を向上させる。

Orum オルム


迅速かつ低リスク、低コストの銀行間送金のスタートアップ。2019年に設立し、20年にサービスを開始。創業者兼CEOのステファニー・キルクパトリックが送金時間の迅速化という多くの企業が抱える問題を解決しようと設立した。拠点はニューヨーク。従業員は40人。

クレジットカード決済は迅速だが、小売店はカード決済手数料として売り上げの2%程度を徴収され、コストが高い。一方で、給与振込や請求書の自動支払い、銀行振込のような小口決済システム(ACH)ネットワークを使った送金では、手数料は30セントと安いが5日を要する。

同社はこうした課題を「フォーサイト」というプロダクトで解決する。提携金融機関からデータを取得し、機械学習を用いてトランザクションのリスクを精査する。ある銀行振込が99%の確率で安全であることを顧客に伝えることができるため、情報を受け取った銀行は従来より格段に早い送金が可能になる。多くの場合はその日のうちに送金が完了するため、ユーザーエクスペリエンスが大幅に向上する。

現在、オルムは15社にサービスを提供しており、そこにはデジタルバンキングのSoFiや、メンフィス拠点で157年の歴史を持つ金融サービスのFirst Horizonが含まれる。これらの企業は送金の85%を迅速化し、従来3〜4日を要したやり取りが1日で実行できるようになったという。

このほか、状況によって最適な送金ネットワークを選択する「モーメンタム」などのサービスも提供する。

従業員の48%が女性、48%が非白人という多様性に富んだチーム構成も特徴。

Finix フィニックス


ペイメントファシリテータープラットフォーム。クレジットカードやデビットカードの処理を企業がコントロールできるようペイメントサービスを提供する。2020年のEコマースの活況で300%の成長を果たした。

Marqeta マルケタ


企業のためのクレジットカードやデビットカード発行プラットフォームを提供する。6月に米ナスダック市場に上場。7月末にはグーグルペイのバランスカードに同社のプラットフォームが使われると発表した。


決済処理企業「Marqeta」創業 者のジェイソン・ガードナー。6 月にIPOを果たし、7月にはグー グルペイとの提携も発表するなど、 順調に成長している。

Socure ソーキュア


金融機関が新規顧客を登録する際の本人確認や詐欺防止に人工知能を活用、検証ソリューションを提供する。申請者の電子メール、IPアドレス、デバイスの種類などのデータを分析、本人確認に活用する。

Plaid プレイド


ロビンフッドやコインベース、ベンモなどのフィンテックアプリとユーザーの銀行口座をつなぎ、預金や支払いを可能にする。今年、預金銀行の切り替えや貸し手が借り手のリスク評価を行える機能を追加した。

Wise ワイズ


消費者向けのオンライン国際送金を提供する。送金元と送金先の国内で通貨注文をマッチングさせることで安い手数料が可能になった。今年7月、ロンドン証券取引所にダイレクトリスティングで上場した。
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edit by Jeff Kauflin and Janet Novack Reported By Maria Abreu, Nina Bambysheva, Margherita Beale, Jason Bisnoff, Michael Del Castillo, Steven Ehrlich, Antoine Gara, Eliza Haverstock, Jeff Kauflin, Jonathan Ponciano & Kristin Stoller | illustration by

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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