INSURANCE 保険
保険業界の旧態依然とした慣例や煩雑な業務を効率化する「InsurTech(インシュアテック)」。新規参入が業界を根底から変えるかもしれない。
Insurify インシュアファイ
2013年、MITのピッチコンテストのスピンオフとして設立された保険比較サイト。約70社の自動車保険、火災保険会社、約40社の生命保険会社と提携、オンラインで保険の比較、購入、管理ができる。
Coalition コーリション
2017年創業のサイバー保険のスタートアップ。教会や農場、ベンチャーキャピタルなど2万7,000社の中小企業向けにサイバー保険を提供する。同社の保険は、ランサムウェア攻撃から発生するさまざまな被害をカバーしており、100万ドル(約1億円)の損害を補償するための保険料は年間1500ドルから3000ドル。今年5月、9億ドルの評価額で9000万ドルを調達した。パンデミック中、ハッカーがコンピュータのファイルを盗んで身代金を要求するランサムウェア攻撃が増加。身代金支払額は19年第3四半期の平均4万1000ドルから20年には平均23万4000ドルに上昇した。こうした中、同社の年間売り上げは前年の5000万ドルから1億ドルに増加した。
AIGやChubb、Axa XLといった大手が存在する米国のサイバー保険分野で、コーリションはよりテクノロジーを駆使して差別化を図ろうとしている。サイバー犯罪者は、マイクロソフトのリモート・デスクトップ・プロトコル(RDP)を使って企業のコンピュータに侵入する場合が多い。RDPは便利なツールだが悪用される危険もある。コーリションでは企業のデバイスをスキャンしてRDPを検出。不審なプログラムが見つかると、プログラムを無効にして別のサービスを利用するよう企業に要請する。
また同社では、独立系のIT企業へのサイバー保険の提供を拒否している。これは、IT企業がサイバー攻撃を受けた場合、その顧客のすべてが危険にさらされることが多いためだ。リスクの高い企業を選別して保険対象から除外するために、同社では機械学習アルゴリズムを使ってウェブサイトのドメイン名を分析している。
Hippo Insurance ヒッポ・インシュアランス
2015年創業。ホームオーナーズ保険を提供。AI、公共のデータ、衛星画像、IoTデバイスなどを活用し、保険への短時間で効率的な申し込みや請求を実現した。共同創業者兼CEOのアサフ・ワンド。
Newfront ニューフロント
独自のテクノロジーで、さまざまな業種の企業に合った保険、従業員の福利厚生などを提供する。複数の保険会社の申込書を取り込んで効率的に処理するシステムで、顧客は最適な商品を選択できる。
Next Insurance ネクスト・インシュアランス
中小企業に特化した保険をオンラインで提供する。AIを駆使したシステムを通じて業種に合った保険を選び、必要に応じて複数の保険への加入も可能。申し込みはスマートフォン上で10分ほどで完了できる。
Policygenius ポリシージーニアス
2014年ローンチの個人向けオンライン保険マーケットプレイス。生命保険、自動車保険、ホームオーナーズ保険、レンターズ保険を比較、購入できる。20年からデジタル遺言・信託管理業務も始めた。
INVESTING 投資
昨今の個人投資ブームに加え、コロナ禍により激増した投資アプリ利用者。ヘッジファンドを沈めるなど、“力学“まで変えようとしている。
Aspiration アスピレーション
環境保護主義者のためのフィンテック。化石燃料を使用しない企業に投資する個人退職口座(IRA)や課税対象口座ほか、厳選された社会貢献企業からのキャッシュバック付きデビットカードなども提供する。
Guideline ガイドライン
中小企業向けに確定拠出年金(401k)を提供する。費用は月額39ドルの基本料金に加え、従業員1人あたり8ドルで、手数料は平均0.07%。シンプルでシームレス、スマートな退職金のあり方を目指す。
iCapital Network iキャピタル・ネットワーク
富裕層による未公開株やヘッジファンドなどへの投資のためのプラットフォーム。従来よりもはるかに少額で投資ができる。UBS、ゴールドマン・サックスなど90社以上に「ホワイトラベル」サービスを提供。
Robinhood ロビンフッド
アプリで株式・上場投資信託(ETF)・オプション・暗号資産の取引を手数料なしで提供する。デビットカード搭載のキャッシュマネジメントサービスも。ユーザー数は1300万人以上。7月末、IPOを実施。
Stash スタッシュ
アマチュア投資家向けに投資アプリを提供。ユーザーは、月額定額1ドルから9ドルで株式やさまざまなETF、IRA、手数料ゼロの当座預金、デビットカード、生命保険などのサービスが受けられる。