NX450h+が採用するモーターの出力や18.1kWhのリチウムイオンバッテリー容量は「RAV4 PHV」と同じ。でも、システム総合出力は309psとRAV4 PHVに対して3PS高く、一方で満充電からのEV航続距離は88kmと7km短い。充電時間は家庭用の100Vで33時間、200Vで5.5時間となっている。
しかし、顧客は必要としないだろうということで、CHAdeMOの急速充電システムには対応していない。僕としては、この点だけはレクサスのビッグミスだと思う。やはり、急速充電の対応もこれから不可欠に違いない。
走りと乗り心地は上等だ。都内の一般道でチェックして驚いたのが、NXのどっしり感、というか重厚感だね。さすがレクサス。フロントモーターは182ps、リアモーターは54psを含むシステム最高出力の309psは十分な加速をもたらせてくれる。
モーターならではの非常に力強い加速は気持ち良いし、0-100km/h加速は6.0秒と欧州のスポーツカー並みだ。シャシー剛性が高いことと、床下にバッテリーを敷いていて、重心が低いので、コーナーではロールは驚くほど抑えられている。
また、E-FOURの四輪駆動のおかげでアンダーステアが出ないし、ターンインが鋭くて正確であることに関心した。また、新しいサスペンションがついているおかげで、乗り心地はしなやかだし、静粛性は長年レクサスが約束してきたレベルに達している。
緊急ブレーキ、レーンキープ、ACCなどのいつものレクサスお得意の安全装備も搭載され、道路標識やロードサインアシストは読んでくれるし、さらに地域によっては信号と連携して「まもなく信号が変わります」といううれしい機能もついている。また、前方に障害物があると、NXは自動的にそれらを読み取り、障害物を避けるために、なるべく自分が走っている車線からはみ出ないように自ら多少ハンドルが曲がる。
レクサス初PHEVのNXは今回、全く違うクルマとして生まれ変わっている。ルックスはもちろんのこと、加速性はスポーツカー並みで、ハンドリングも非常にスポーティなレベルに仕上がっている。またEVだけの航続距離は88km、内装は14インチの巨大スクリーンといくつかの全く新しいフィーチャーで730万円とはそこそこイイ線いっているのではないだろうか。
国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
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