ナイジェリア出身の起業家
ナイジェリア出身のアロディオグブは、母国で家族が経営する石鹸工場で働いた経験から自らも起業を思い立ち、Zenefitsで同僚だったUsman Ghaniと課題を抱える業界向けにテクノロジーを活用したソリューションを提供しようと考えた。
2人は運送業界に目を付け、車両の遠隔操作を手掛ける「Scotty Labs」を設立し、2019年にドアダッシュに売却した。アロディオグブによると、Scotty Labsは、ドライバーが運転を面倒だと感じていることを前提にソリューションを開発していたが、実際にドライバーと話をしてみると、彼らが面倒に感じているのは運転よりも管理業務の方であることに気付いたという。
彼はこの問題を解決するため、Zenefits時代の同僚で、現在はCTOを務めるJin Shiehと、Scotty Labsで採用したナイジェリア人のGeorge Ezennaと共にCloudTrucksを設立した(Ghaniはその後、クレジットカード会社AvenのCTOに就任した)。
これまでベンチャーキャピタルは運送業界への投資に消極的だったが、CloudTrucksをはじめ、業界のデジタル化に取り組むスタートアップの参入が増え、状況は変わりつつある。
CloudTrucksのアプリには、配送依頼のデータベースや、ドライバーが何週間も待たずに報酬が得られる決済システム、保険をCloudTrucksに任せるオプションなどの機能が搭載されており、ドライバーは複数のツールを使うことなく、ビジネスを一元管理することができる。
CloudTrucksは、機能の利用に応じて、ドライバーの報酬の6〜15%を徴収する。ウィスコンシン州で運送業を個人で営むJason Hurleyによると、CloudTrucksから報酬の15%を徴収されても、運送会社で契約社員として働いていたときより収入が多いという。
CloudTrucksは、新たに調達した資金を使って既存機能の強化を図るという。アロディオグブによると、12月に実施した前回ラウンドから売上高が9.5倍に増加し、十分な成長を実現できたことから、今回の資金調達を実施したという。
Sloaneによると、トラック業界はロングテール型の構造であるため、大手運送会社のSchneiderやLandstar、リージョナルな中小企業、TrueNorthやSmartHopのようなスタートアップとの競争を心配していないという。米国トラック業界によると、昨年の業界全体の収益は7300億ドルだった。
「従来、ドライバーが独立するための手間は非常に煩雑で、それを実現するためのソリューションも分散していたが、CloudTrucksはそうした課題を一元的に解決することを可能にした」とアロディオグブは語った。