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2022.01.01

「犬のためのサプリ」でユニコーンを目指すスタートアップ

Getty Images

ペット用品がブームになる中、ロサンゼルス本拠のスタートアップが「科学」をキーワードに差別化を図っている。英国出身のシリアルアントレプレナー、ニール・ハッチンソン(Neil Hutchinson)が設立した「Front Of The Pack(FOTP)」は、犬用のサプリメントを販売している。

同社のサプリメントは、ドッグフードの上にかける粉末で、慢性疾患のある犬の症状を改善したり、健康を維持する効果があるという。「製品の効能を証明する最も簡単な方法は、科学に投資することだ」とハッチンソンは話す。FOTPは、カリフォルニア大学デービス校の獣医学部での臨床試験に資金提供を行う予定だ。

FOTPは7月14日、シリーズAラウンドで1000万ドルを調達し、評価額が5000万ドル(約56億円)に達したことを発表した。同社の月あたりの売上は100万ドルを超えている。今回のラウンドを主導したのは、ロンドン本拠のStride VCで、他にはHeartcore CapitalやFounder Collective、エンジェル投資家のAndrew Dundumなどが参加した。

Dundumは、上場を果たしたデジタルヘルス企業「Hims/Hers」の創業者兼CEOで、7月初めに設立されたペット向け遠隔医療のスタートアップにも出資している。

FOTPの一番の売れ筋商品であるマルチビタミンサプリ「The One」は、ユーザーにとって同社のブランドへの入り口となる商品で、これに満足したユーザーが毎月の定期購入に移行するという。

ハッチンソンは以前、デジタルマーケティング会社を設立して成功を収め、2017年にペット用品のECサイト「Paws.com」を買収し、2019年には別のECサイトと合併し、ホールディング会社「The Paws Group」を設立した。その後、独自の製品を開発したいと考えるようになり、FOTPを設立した。

「9カ月間研究開発を行った結果、これまでにない最高品質のペット用サプリを作ることができると確信した」と、ハッチンソンと共に同社を共同創業したクリス・ウィルキンソンは話す。2人は研究に多額の投資をし、究極の製品を開発することが他社との差別化になると考え、ウェブサイトでもその点を強調している。
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編集=上田裕資

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