民主党のアンドリュー・クオモ前知事は7月、政府機関や民間人が銃器の販売、生産、流通、輸入、マーケティングに関わる人々に対して民事訴訟を起こせるようにする新法に署名した。
今回の訴訟の原告の一つの全米射撃協会(National Shooting Sports Foundation)は、ニューヨークの法律は、銃器が誤った使用をされたり、不法に所持されたりした場合に、その購入場所にかかわらず、銃業界を「責めるように作られている」と声明で述べている。
原告側は、この法律が2005年に成立した、銃メーカーが訴えられないように保護する連邦法を無効にするものだと主張し、この法律が違憲だと述べている。
この訴訟を受けて、ニューヨーク州司法長官のレティシア・ジェームズ(民主党)は声明で、「我々は断固として、この法律を守り抜く。ニューヨーカーを危険にさらそうとする彼らの試みには一歩も引かない」と述べた。
ニューヨーク州で新たに成立した法律で銃器メーカーは、銃が不法に所持、使用、販売されることを防ぐために、「合理的な管理」を行うことが義務付けられている。銃の販売元は、盗難や代理購入、銃器の所持が禁止されている人への販売などを防ぐためにスクリーニングを行うことが求められる。
この法律では、州や地方自治体及び損害を受けた個人が、この法の遵守を怠った銃会社に対して民事訴訟を起こすことができるとしている。つまり、銃による暴力の被害者は、法廷で銃企業の責任を問えるのだ。クオモ前知事は7月に、銃による暴力を「公衆衛生上の危機」と表現し、緊急事態を宣言していた。
一方で、銃メーカーは、2005年に連邦政府が制定した「武器の合法的取引に関する保護法(Protection of Lawful Commerce in Arms Act)」を根拠に、銃が犯罪に使用された場合に、彼らは責任を問われないと主張している。
ジェームズ司法長官は声明の中で、ニューヨークの法律は一般市民を保護するためのもので、2005年の法律による「連邦政府の行き過ぎた措置」に対抗するものだと述べている。