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2021.12.24

個々の性質の違いによって意識もまったく違う! 社員全員が納得できる人事評価制度ってどうすればつくれるの?

日々向き合わなければならない課題を経営者同士で共有し、手を取り合って解決に導く「お悩みピッチ」。2020年よりスタートした本企画、2021年8人目のお悩み人は、次代を牽引する新しいリーダー30人に光を当てる「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」で、2019年にサイエンス部門を受賞した株式会社オリィ研究所 共同創設者 COOの結城明姫さんです。

移動が困難など社会から離れてしまいがちな人々が抱える課題を、テクノロジーで解決に導くロボットベンチャーのCOOを務める結城さんは、事業の規模拡大に合わせて新たに社内の人事評価制度をつくりました。社員の成長を望んで考えたのに、なぜか不平不満がぽつぽつ。どうすれば誰もが納得できる制度がつくれるのか、と結城さんは悩んでいます。




お悩み「社員それぞれの性質を最大限に生かし、成長を促す組織とは?」




2012年に創業した株式会社オリィ研究所は、ロボットによって社会課題の解決を目指すベンチャー。同社が向き合っている社会課題とは、「孤独」です。

長く入院が続いたり、病気やけが、心の問題で家からなかなか出られなかったり、外の世界と隔絶して孤独を感じてしまう人がいる。そうした社会から見えにくい課題を解決するため、オリィ研究所は分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を開発しました。

OriHimeはインターネットを通じ、人間が操作をしてコミュニケーションがはかれるロボットです。体が動かせないなど家から外出ができない事情があったとしても、ロボットを通じて学校で勉強をする、お店で働くといったことが可能。実際に大学で講義をする人や店舗で店員として働く人もいます。

最近では、新たに開発した大型ロボット「OriHime-D」を案内係や給仕係にした分身ロボットカフェ「DAWN ver.β(ドーン バージョンベータ)」を2021年6月に日本橋でオープンしました。病気などで自宅から動けない人が、ロボットの操縦者としてカフェで働く環境を生み出したのです。

そんな新しい社会や文化を創造するオリィ研究所の結城さんは、10代のときに長い入院生活を経験し、「たとえ寝たきりになっても、人生を好きなように送りたい!」と考えてオリィ研究所を共同創業するに至りました。

創業からもうすぐ10年。ひたむきに走ってきた道に、最近大きな壁が立ちふさがったのです。それが「社員の性質による考え方の違い」でした。

組織拡大に伴ってきちんとした人事評価制度をつくったところ、大きく分けて、エンジニアリングやデザインなどクリエイティブな業務に携わる社員と、営業やマーケティングなどロジカルな考え方でビジネスを推進していくことに長けた社員で、受け取り方に違いが出てきたのです。

公平かつそれぞれが成長できるようにと考えた制度なのに、仕事の属性や個々の社員の性質によって合う、合わないが出てきてしまい、一部から不満の声が……。退職者が出るまではいかないものの、仕事のモチベーションに影響を及ぼしはじめ、社内が少しギクシャクしているそうです。

納得されていないだけに、この人事評価制度が社内の指標として本気で捉えられず、「結局は形だけのものになりそう」といった懸念も。一体、何を基準にして、どういう制度をつくればよいのかと、結城さんはお悩みピッチの門をたたきました。

お悩みを聞いたお助け隊は、「これは自分たちも知りたいと思うくらい、多くの経営者が悩んでいることですね」と大きく共感。具体的な会社の状況をひも解いていきながら、それぞれの経験と考えが共有されていきます。話が進んでいくにつれて、どういう制度をつくればいいのかだけでなく、「組織の根本を支えるもの」へとアドバイスが広がっていきました。

目標が全員で共有されていれば、山の登り方はなんでもいい。




お悩みピッチのファシリテーターを務める齋藤潤一さんが、まずは数多くのスタートアップ経営者を見てきたベンチャーキャピタルのシニフィアン株式会社 共同代表 朝倉祐介さんに、「制度づくりで大事なことはなんでしょうか?」と問いかけました。

朝倉さん
「働き方やルールを一方の考え方に寄せたり、制度そのものを分けたりするのもひとつの手だとは思います。ただ、そのときに思うのが、そもそも制度の問題なのかということ。どういうものをつくったとしても、軋轢や葛藤、衝突といったモチベーションを下げることはずっと続くと思うんです」

考え方の違う人がいたときに、いずれかの論理を優先することへの理解は示すものの、それが果たして正解なのかと朝倉さんは続けます。

朝倉さん
「では、人がモチベーションを下げるのってどんなときか。それは、自分が期待していた状態と違う状況になるとがっかりするんじゃないかなと思うんです。僕が大切だと感じるのは、みんなの『期待値をコントロールする』こと。オリィ研究所でいえば、文明の衝突が起こるのを前提に、そのぶつかり合いが会社の面白いところなんだ、そういうスタイルなんだと、期待値を設定していくのも方法のひとつなんじゃないかと思います」

ファシリテーターの齋藤さんが、「CFO(Chief FutureOffixer:最高未来責任者)といった面白い役職をつくるなど、大変ユニークな組織づくりをしている」と、株式会社ユーグレナ 取締役代表執行役員CEOの永田暁彦さんの考えを聞きます。

永田さん
「私たちが人事制度をつくるときに大切にしているのは、『公平な制度はない。公正な制度はある』ということです。公正とは、基準やルール、大切にしていること、評価基準などが開示されていて、自分がその通りに進めば、その結果が訪れることがわかっている状態。これが公正性だと思います。一方の公平は、きっと永遠に訪れないものだと思っています。この公平と公正という言葉の使い方は、基本思想に影響を与えると考えています」

さらに永田さんは、仕組みづくりから続く、組織づくりで大切にしていることも話してくれました。

永田さん
「オリィ研究所のような目標性が強い会社では、働く仲間が同じ目的意識を持っているかが重要になると思います。この目標を果たすためなら、山の頂上を目指してロジカルに登っても、クリエイティブに登っても問題はないはず。どれだけ山に登れたかが一番重要な指標だと思います」

そうしたルールや登り方を実際に運用するうえで、最も大事になるのがマネージャーの存在だと続けます。

永田さん
「私の会社も同じですが、研究開発やマーケティングなどいろいろなチームがあって、みんな仕事の内容で働き方や思考、根本のキャラクターが違うと思います。そこで私がすごく大切にしているのは、各部門を象徴するマネージャーが、相互リスペクトと相互理解、CEOとの信頼関係が徹底してつくれるかどうか。組織のヒエラルキーは命令系統や意思決定形態をつくる意味もありますが、文化や信頼を分解してチームに伝える機能もあると思っています。お互いのチームのメンバーが認め合えない部分を、どうやって信頼関係や相互リスペクトへと導けるか。それがマネージャーの仕事だし、ここがしっかりしていれば少しぐらい現場が揺らいでも根本は揺るがなくなると思っています」

空きスペースを荷物の預け場所にする世界初のシェアリングサービスを展開するスタートアップ、ecbo株式会社の代表取締役社長 工藤慎一さんは、「まさに自分もやっている部分なので、すごくわかります」と、直近の体験を共有してくれました。

工藤さん
「実際にやってよかったなと思ったのが、チームの納得度を高めるフレームワークを入れたこと。例えば、プロダクト開発の進め方を決めるときに、代表やプロダクトマネージャーが勝手に優先順位を決めるような従来のやり方だと、現場の実情と離れることがあるので、チームの納得度は得にくいです。そこで入れたのが、『Tシャツフレームワーク』でした」

工藤さんが言う「Tシャツフレームワーク」とは、ある施策をコストとインパクト(実施したことで生まれる影響)の観点から、TシャツのサイズのようにXS~XLのラベルで評価するもの。各ラベルを付けるためには、コストなら作業内容や工数がわかるエンジニアが、インパクトなら顧客が見えている営業などが入らなければ評価はできません。

工藤さん
「みんなでつくっていくから納得できるようになるんです。会社もプロダクトのようなもの。つくってハマれば、一気にみんなの気持ちも明るくなります。そうしたフレームワークは国内外にたくさんあるので、自社に合ったものを探すのは面白いと思いますよ」

工藤さんのアドバイスを聞いた結城さんは、「単に意思決定しましたではなく、そのプロセスを明示化することと、意思決定にステークホルダーを巻き込むことが大切なのかなと思ったのですが、その辺りの本質的なところは?」と質問します。

工藤さん
「正直、僕はもともと、チームの納得度は置いておいて、勝手にいろいろと決めてきたタイプだったんです。それを続けてきたら、コロナ禍の影響もあってチームがうまく回らなくなり、プロダクトの成長スピードもどんどん遅くなってしまいました。そこで初めて、納得度を意識したチームづくりの重要性に気づいたんです」

制度に答えを求めてはいけない。経営者が光を発する太陽になるべし。




期待値のコントロール、マネージャーの連携、フレームワークの採用など、性質の違いを問わずに社員の納得度を高める方法についてアドバイスが出てきたなかで、ファシリテーターの齋藤さんが、ITと食を掛け合わせたベビーフードサービスなどを手がける株式会社MiL 代表取締役・CEOの杉岡侑也さんに、チームづくりで大切にしている考えを問いかけました。杉岡さんは大学生/非大卒者のキャリア支援や、中小企業支援などを行う企業の運営経験ももつ立場から、アドバイスを送ります。

杉岡さん
「経営者は社員全員を愛してしまうので、不平不満が出てくると寂しく感じることもありますよね。ただ、それを全肯定するのも大事かなと思っています。一定数はそういうものだと捉えておけば、たとえ組織の仕組みづくりでフェーズによってうまくいかなかったときでも飲み込めるようになるのかなって」

続けて、3人のお助け隊からのアドバイスを前提として、それでも難しかったときに杉岡さんが心がけていることを教えてくれました。

杉岡さん
「例えば、採用のタイミングで期待値を調整するとか、採用後にもある期間でこういうアウトプットをお互いに出すことを決めるとか、いろいろなことを話し合っていたとしても、結局は『合わない』といって退職しようとする社員は出てくると思います。そのときは、マクロの視点で考えてみる。その人が求められる環境がほかの場所にあって、違うところに行ったほうが社会的にはいいのかもしれないって。個人的には、いつもそんな感覚で捉えています。でないと、退職者が出るたびに自分が堪えられなくなるなって(笑)」

これまでの話を聞いて、朝倉さんが最後にもうひとつ付け加えたいと話し始めました。

朝倉さん
「『どうすればいい制度がつくれるのか』というお悩みですが、制度に答えを求めてはいけないと思うんです。これは、会社のミッションやパーパスなどすべてにおいて言えると思います。例えばミッションって、僕は太陽ではなく月だと考えているんですよ。素晴らしい言葉をつくることができれば自然と求心力が高まるといったものではなく、たとえ陳腐でも自分の言葉で大事に思っていることを掲げ、その意味をずっとずっと説明し続けることが大事だと思うんです」

ミッションは月。自然と光を発するものではなく、経営者が太陽となり、光を当て続けなければ光ることはないと朝倉さん。それは結城さんが取り組んでいる「制度」も同じだと続けます。

朝倉さん
「たくさんの意見を聞き、考え抜いた制度をつくったとしても、全員がハッピーになれるわけではないと思うんです。なぜそれをつくったのかを説明し、それが自分たちのやり方だけれどついてきてくれないかと思いを伝える。採用時点でも、今働いている社員にも、能動的に伝えていかなければならないと考えています。人事制度は不平不満が集まりやすいですが、それをつくったときの本旨は、会社のさらなる成長のはず。これを伝えるプロセスが、組織をまとめていくうえでものすごく大切なことだと思います」

制度に込めた思いを一人ひとりと膝を付き合わせながら伝えたい




ファシリテーターの齋藤さんが結城さんに、「お助け隊の皆さんのアドバイスを聞いて、いかがでしたか?」と問いかけました。すると結城さんは、「期待値」と「伝えること」に大きな気づきがあったと話します。

「採用について深く考えて取り組もうと頑張りはじめたのって、実は最近のことで。これまでは『一緒にやりたい』といった思いを先行させていて、採用時に期待値のコントロールをしていたかといえば、たぶんできていませんでした。逆に、最近入社した人たちは、いまのフェーズに合わせた期待値を持っているとなると、社内でズレがあるんだろうなと思いました」

入社時期による期待値の違いがあることに加え、新たにつくった人事評価制度の意図を伝えた方法にも振り返ります。

「みんなに対してメッセージを出したのですが、いまの企業規模なら、ステークホルダーをはじめ、一人ひとりと膝を付き合わせながら本質をきちんと伝えていったほうがよかったかもしれません。そうしないと、伝わらないんだろうなと感じました」

当初のお悩みの範囲を超えた部分に気づきが多く、ピッチの最後で「やりたいことがたくさん出てきた」と言葉にした結城さん。後日、「制度を使うときに『なんのためにこれを設定しているのか』を改めて話すなど、コミュニケーションに気を配るようになりました。今度の制度改善のときにも、何を目的に、何を変えたかをきちんと話していこうと思っています」と、すぐに動き出したことを話してくれました。


8人目のセッションを受けて、お悩みピッチを主催するアメリカン・エキスプレス 須藤靖洋 法人事業部門副社長/ジェネラル・マネージャーは、「経営者の方々をどうバッキングしていくか。それを私どもは常に考えています。お悩みピッチはまさに、それを実現できる場だと感じました」と、お悩み人とお助け隊の対話がバッキングになることをあらためて確信したそうです。

Forbes JAPANの藤吉編集長は、「Forbes JAPANは経営者やリーダーの雑誌といわれていますが、やはり仕事における『お悩みの雑誌』だなと感じました」と、ビジネスにかかわるあらゆる人の言葉が誰かの助けになると再認識したようです。

「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉で示されるように、多様性を認め、それぞれの役割を分担し、共に成長しあえるチームをつくることが、これからの価値創造には不可欠となるでしょう。それはひとつの組織の中だけに限定する必要はなく、お悩みピッチもまた「あなたのチーム」になれる場所。Forbes JAPANとアメリカン・エキスプレスは経営者同士の助け合いが広がっていくことを心から願い、これからもサポートしていきます。

▶︎実は……もっと濃い話があります! お悩みピッチ第4回 30UNDER30編は動画でもぜひご覧ください!

CASE 8のお悩みピッチをビジュアル化すると……

▶︎「お悩みピッチ2021」特設サイト&これまでの「お悩みピッチ」はこちら



【お悩み人】
結城 明姫 氏(株式会社オリィ研究所 共同創設者 COO)

国際基督教大学教養学部卒業。高校時代に流体力学の研究を行い、2006年の高校生科学技術チャレンジで文部科学大臣賞、YKK特別賞をダブル受賞。インテル国際学生科学技術フェア(ISEF)出場を目前に結核で倒れ長期入院を経験するが、翌年再出場しグランドアワード優秀賞に。12年、吉藤健太朗、椎葉嘉文とともにオリィ研究所を設立。
▶株式会社オリィ研究所

【お助け人】
永田 暁彦 氏(株式会社ユーグレナ 取締役代表執行役員CEO)
慶應義塾大学商学部を卒業後、独立系プライベート・エクイティファンドに入社し、プライベート・エクイティ部門とコンサルティング部門に所属。2008年にユーグレナの社外取締役に就任。ユーグレナの未上場期より事業戦略、M&A、資金調達、資本提携、広報・IR、管理部門を管轄。技術を支える戦略、ファイナンス分野に精通。現在は代表執行役員CEOとしてユーグレナの食品から燃料、研究開発などすべての事業執行を務めるとともに、日本最大級の技術系VC「リアルテックファンド」の代表を務める。
▶ユーグレナ

朝倉 祐介 氏(シニフィアン株式会社 共同代表)
競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。ミクシィへの売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員などを経て、現職に至る。株式会社セプテーニ・ホールディングス社外取締役。Tokyo Founders Fundパートナー。
▶シニフィアン

工藤 慎一 氏(ecbo株式会社 代表取締役社長)
Uber Japanの立ち上げを経て、2015年6月ecboを設立。2017年1月、店舗の空きスペースを、荷物の一時預かり所にする世界初のシェアリングサービス「ecbo cloak」の運営を開始。ベンチャー企業の登竜門「IVS Launch Pad 2017 Fall」で優勝。2019年9月に、Amazonと提携し、店舗の空きスペースで宅配物を受け取るサービス「ecbo pickup」の運営を開始。
▶ecbo

杉岡 侑也 氏(株式会社MiL 代表取締役CEO社長)
高校卒業後、大学受験に失敗したことで5年間のフリーター生活を送る。人生のどん底から、環境に恵まれ復活した経験を経て、“人の可能性は無限大”であることを証明するため起業。2016年には大学生のキャリア支援を行うBeyond Cafe、2018年には中小企業支援、非大卒者のキャリア支援を行うZERO TALENTを創業。同年に、フード×ヘルスケアスタートアップ・MiLを妻とシェフの3人で立ち上げる。
▶MiL

【2021年お悩みピッチファシリテーター】
齋藤 潤一 氏(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事/AGRIST株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者)
米国シリコンバレーの音楽配信会社でクリエイティブ・ディレクターを務めた後、帰国。 東日本大震災を機に「ビジネスで地域課題を解決する」を使命に地方の起業家育成を開始。 2017 年に宮崎県児湯(こゆ)郡新富町役場が旧観光協会を法人化し、一般財団法人こゆ地域 づくり推進機構を設立する。
▶一般財団法人こゆ地域づくり推進機構
▶︎AGRIST


「そう、ビジネスには、これがいる。
アメリカン・エキスプレス

Promoted by アメリカン・エキスプレス / Text by 中村大輔 / Infographic by 渡辺 祐亮, cocoroé / Edit by 千吉良美樹

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