シャネルが世界有数の消費財メーカー、ユニリーバの最高人事責任者(CHRO)であるナイールをCEOに起用することは、意外とも受け取れるかもしれない。少し前まで、高級ブランドの新たなトップとして候補に挙がるのは大抵、ファッション業界で経験を積んできた人だった。
だが、小売業界が専門のコンサルティング会社、米ロバート・バーク・アソシエイツのロバート・バークCEOによれば、高級ファッションの世界では、経営トップを異業種から起用する傾向はますます強まっている。
バークによると、それを示す最初の例は、2001年にLVMHのグループ・マネージング・ディレクターに就任したプロクター・アンド・ギャンブル・ヨーロッパの元代表取締役社長、イタリア出身のアントニオ・ベローニだった。
その後、2017年にはラルフ ローレンが、P&Gのグローバル・ビューティー部門のグループ・プレジデントだったパトリス・ルーヴェを社長兼CEOに起用。ディオールも、2006年からルイ・ヴィトンのマーケティング・コミュニケーション部門のエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めていたピエトロ・ベッカーリをCEOに迎えている。
ラグジュアリーも消費財
バークも、そしてフランスのファッション・コンサルティング・グループ、ミントグループのジャン・フィリップ・プルニョーCEOも、「高級品も消費財」との考えだ。プルニョーCEOは、ナイールの任命はシャネルが今後、目標のいくつかを達成することにもつながるとの見方を示している。
「ファッション業界以外からの人選は、シャネルが多様性を広げることに真剣に取り組んでいることを証明することになるだろう」
「シャネルがグローバルな企業であり、採用、経営、さらにはクリエイティブやコミュニケーションまでのすべてのレベルにおいて、多様性や平等についての基準を維持する能力について、より真剣に取り組んでいることを示すものだ」