決算発表で同社は、サプライチェーンの状況は引き続き厳しく、物価のインフレ傾向も続いているが、消費者の需要や足元の業績は堅調だとの見方を示した。
コストコの上級副社長で最高財務責任者(CFO)を務めるリチャード・ガランティは次のように述べた。「当社は常に、値上げは最後に、値下げは真っ先に実施する小売業者でありたいとの方針を貫いている。ベンダーと協力して、当社の登録会員(顧客)への価格転嫁をできる限り抑えるよう、できる限りの努力をしている」
ガランティCFOはこう述べたものの、第1四半期には4.5~5%の値上げを行ったことも、同社は明らかにしている。背景には、サプライチェーンの停滞や、コロナ禍における混乱、仕入原価や労働コストの上昇といった、さまざまな要因がある。
来店客数は7%増、需要も堅調に推移
一部の商品カテゴリーでは、値上げによって需要が縮小する傾向も出ているが、コストコの会員たちは値上げ後も、同社が提供する商品に価値を見いだしているようだ。
コストコが運営する会員制の倉庫型小売店舗を訪れた買い物客の数は、第1四半期に、全世界で6.8%、米国市場で5.9%増加した。会員の来店1回あたりの支出額は、米国の店舗で8.5%増、全世界で7.7%増だった。
コストコは、さまざまなカテゴリーを網羅する40万点以上の品揃えを誇っており、これが同社の強い購買力、そして会員にとってベストな商品ラインアップを最安値で提供する力の源泉となっていると、ガランティは説明する。さらにeコマースの売上も堅調で、前年の良好な実績をさらに14.3%上回っている。
米国、カナダでの会員更新率は92%近い高レベルを維持
会員登録の際にかかる年会費からの収益も9.9%上昇した。全世界の会員更新率は89%と、米国およびカナダ市場の91.6%をやや下回る数字となっている。
更新率が高いレベルを維持している主な要因としては、最上位の会員資格であり、更新率が高いと考えられるエグゼクティブ会員の契約率が高まっていることが挙げられる。
更新率の向上に寄与している他の要素としては、自動更新制度が広く受け入れられている点がある。この結果、個人会員登録数は6250万人と、前期から微増した。
一方、法人会員なども含めた全会員数は、第1四半期末の時点で1億1300万件に達した。ガランティによれば、全会員数のうちエグゼクティブ会員が占める割合は42%で、同社の全売上に占める割合は70%に達するという。