12月14日に米国証券取引委員会(SEC)に提出された書類によると、シンガポールを拠点とするグラブは、非公開の金額でJaya Grocerの普通株式のすべてと優先株式の75%を購入する予定だ。この取引は4億2500万ドル(約483億円)に達する可能性があると現地メディアは報じている。
ナスダック市場に上場するグラブの株価は、5.30%下落し、6.79ドルで終了した。特別目的買収会社(SPAC)との合併を経て上場を果たした同社の評価額は400億ドルとされたが、株価は12月2日の上場以来、約48%も下落している。
Jaya Grocerの買収は、グラブの食料品配送サービスのGrabMartがマレーシアでの活動を強化するのに役立つ。この取引は、2022年の第1四半期に完了する予定とされている。
グラブは、パンデミックが地域の経済に大打撃を与え、東南アジア全体の配車サービスの収益が低下する前の2019年に食料品の配達を開始していた。配車サービス事業の低迷にもかかわらず、グラブの第3四半期のグループ全体のGMV(流通取引総額)は、32%増の40億ドルを記録したが、その背景には、食品配送のGMVが63%増の23億ドルに急増したことが挙げられる。
タクシーの予約アプリとして始動し、配車サービスやデジタル金融サービスなどに事業を拡大し、スーパーアプリに成長したグラブは、デリバリー事業を拡大している。オンラインの食料品配送は、東南アジアのEコマースにおいて最も急速に成長している分野のひとつであり、Euromonitor Internationalは、このカテゴリーが今後数年間で年平均成長率24%で拡大し、2025年には120億ドル近くに達すると予想している。
GrabMart は11月、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムのスーパーマーケットおよび食料品チェーンとパートナーシップを結んだが、それと同時にEコマースのLazadaと提携し、シンガポールの消費者にGrabExpressを介して即日配達サービスを提供している。
2012年に設立のグラブは現在、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの400以上の都市で顧客にサービスを提供している。