東京五輪でブーム、「スケーターを育てる高校」に注目が集まる理由とは?

日本初のスケボーの学校とは?

2021年は、スケートボードが熱かった。今夏の東京五輪から新競技として採用されたスケートボードだが、パークとストリートの両種目で日本人選手が大活躍。男女合わせて金3個、銀1個、銅1個のメダルを獲得した。競技中継で繰り出された独特の解説ワード「ゴン攻め/ビッタビタ」「13歳、真夏の大冒険」も日本中を盛り上げ、今年の「新語・流行語大賞」にもノミネートされた。

そんなブームのなか、いま注目を集めているのが、バンタンデザイン研究所高等部の「スケートボード&デザイン専攻」だ。日本で初めての「スケーターを育てる高校」として2017年に開校し、現在86名の生徒が在籍している。

東京五輪もあってか、スケートボード&デザイン専攻へのアクセス数は、2021年7月以前と比較すると約2倍を超え、高い注目を集めているという。

「この学校は、オリンピックや大会のために技術力を高めるところではなく、スケートボードに関するカルチャーを伝えていく場所」と語るのは、スケートボード&デザイン専攻を企画した同校ブランドマネージャーの細井信宏だ。

では、東京五輪の強化指定選手など第一線で活躍する生徒も在籍する「スケボーの高校」とは、どのような場所なのだろうか。細井や実際に学ぶ生徒に話を聞いた。

グラフィックや映像制作にも力を入れるわけ


スケートボードトレーニングの授業の日、生徒は都内のスケートパークに集まり、思い思いに技の練習をしながら滑る。技術力や完成をめざす技は生徒間で個人差があるため、スケボーの授業にカリキュラムは設けられていない。自由に滑り、訊きたいことがあれば現役のプロスケーターの講師に1人ずつ教えてもらうスタイルにしている。

スケートボード&デザイン専攻がもう1つ力を入れているのは、名称からもわかるようにデザイン教育だ。スケーターにとって自身の滑りを収めた映像である「ビデオパート」を制作することは、何よりも重要な要素だという。その時点で自分ができる技、自身のスタイルを表現して発信することが、プロとして認められる一歩になるからだ。そうした映像制作をスキルとして学ぶことで、スケーターとしての活躍の幅を広げることにつながる。
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文=河村優

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