LastPassは長年、無料のソフトウェアとして運営を続けてきたが、今年3月に2台以上のデバイスでの利用を有料化したことで、強い反発を浴びていた。スマートフォンとパソコンの両方でこのツールを使用する個人ユーザーは、月額3ドルの支払いが義務付けられた
LogMeInのCEOのビル・ワグナーは、LastPassのスピンアウト計画が有料化をめぐる反発とは無関係であり、このツールの収益の75%は法人顧客によるものだと述べている。
LogMeInはここ最近、リモートワーク関連のツールのGoToMeetingなどに注力しているが、ワグナーによると、LastPassのスピンアウトは「価値を最大化するための戦略」であり、LogMeInから分離した後も、価格設定などを変更する予定はないという。
LastPassは、競合のパスワード管理ツールのBitwardenなどとの戦いに勝利し、エリオット・マネジメントらがLogMeInの買収手続きを完了させた2020年8月以降に、ユーザー数を500万人伸ばして3000万人が利用するツールに成長したという。
ワグナーは、LastPassが無料ユーザーのアクセスを制限した際に反発を受けたことを認めつつ、その後は顧客の評価が回復したと述べている。「もちろん、LastPassを離れて競合のアプリに乗り換える人も居たが、予想以上に多くの顧客がプレミアム版の顧客になってくれた」と、彼は述べた。
ビリオネアのポール・シンガーが率いるエリオット・マネジメントとフランチェスコ・パートナーズは、2019年12月にLastPassの親会社でその当時上場企業だったLogMeInに43億ドルの現金を提示し、非公開企業にしていた。
エリオットは、世界で最も強力なアクティビスト投資家の1社として知られるが、2015年以降は、傘下のEvergreen Coast Capitalを通じて、ハイテク分野に特化したバイアウトを行っている。
一方で、フランチェスコ・パートナーズは、2019年2月までイスラエルのスパイウェア開発企業NSOグループの過半数株式を保有していたことで知られ、ソフトウェア分野で広大なポートフォリオを保有している。