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2021.12.15

英老舗百貨店セルフリッジズ、タイ小売り創業家が6000億円で取得へ

Getty Images

英国の老舗高級百貨店セルフリッジズが、タイの小売り大手セントラル・グループ創業家の手に渡る見通しになった。現オーナーであるカナダ有数の富豪一族ウェストン家から、53億ドル(約6000億円)で買い取られる方向だ。セルフリッジズは新型コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)で打撃を受け、リストラなどを進めていた。

かつてセルフリッジズの経営改革に辣腕を振るい、現在はセントラル・グループの一部門を率いるイタリア人のヴィットリオ・ラディーチェが、20年近くぶりに古巣に復帰するとみられる。

一部の報道では、国際的に事業を展開するセントラル・グループがセルフリッジズを買収すると伝えられているが、同グループのオーナー一族であるチラティワット家が直接取得するもようだ。

買収されるのは、ロンドンのオックスフォードストリートにある旗艦店など英国内のセルフリッジズ4店舗のほか、アイルランド、オランダの店舗など。優良な不動産資産約26億ドル(約3000億円)相当も含まれる。セルフリッジズは世界に25店舗を構えている。

セントラル・グループはスーパーやコンビニ、家電量販店など小売店を世界で3700店舗ほど運営。ラディーチェが率いる部門を通じ、イタリアやドイツ、デンマークで高級百貨店も保有している。

ラディーチェは1996年から2003年までセルフリッジズの経営トップを務め、世界的に知名度の高いクールなブランドの誘致やロンドン以外への出店といった変革を進め、広く称賛を集めた。ウェストン家はラディーチェが去った直後にセルフリッジズを取得している。

コロナ禍の間にはセルフリッジズも、ロンドンでの事業を支える観光業がほぼ壊滅したり、店舗閉鎖を余儀なくされたりするなど大きな打撃を受けた。昨年は、自社の歴史で「最も厳しい年」だとし、全従業員の約14%にあたる450人を削減した。今年5月には結婚式を開催するライセンスを取得するなど、新たな収益源を模索している。

パンデミックに見舞われる前の2020年2月期、セルフリッジズは売上高が26億ドル(約3000億円)と前年比7%増える半面、利益は1億1600万ドル(約170億円)と10%減っていた。

チラティワット家によるセルフリッジズの買収は、現時点では年内に完了する見通しとなっている。

編集=江戸伸禎

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