ビジネス

2021.12.30 12:00

会社へは 来るなと上司 行けと妻。第一生命、20代限定「サラ川」の理由


そもそも若者は「保険離れ」をしているのか?


そもそも、若者は論じられるほど保険離れをしているのだろうか。確かに、公共財団法人生命保険文化センターが公表している「令和元年度生活保障に関する調査」の生命保険加入率(全生保)[性・年齢別]によると、20代の加入率は高くない。

令和元年における生命保険加入率は、60代の男性が82.9%、女性が84.5%であるのに対して20代の男性は58.5%、女性は59.9%だった。しかし、ちょっと待ってほしい。30代を見てみると男性が82.4%、女性が82.8%と一気に上昇するのだ。

20代の生命保険加入率は高くないが、30代になると60代に近い加入率になり、性別や年によっては60代を上回る。この傾向は平成5年の調査から10年間変わっていない。10年経てば、当時の20代は概ね30代になっている。

私事だが、著者は27歳のときに保険に入った。周囲の同世代には、本人か身内が生命保険会社に勤めているという人以外は保険加入者はほとんどおらず、自分から保険に加入した著者はずいぶんと珍しがられたことを覚えている。しかし、40代になった今は、周囲の同世代のほとんどがなんらかの保険に加入しているのだ。つまり、今の若者が保険離れをしているのではなく、単に20代のうちに保険に入る人が少ない、という話なのではないだろうか。

若者=将来の加入者、「TOKYO恋結びプレミアムパーティー」も


今の若者も30代になればその多くが保険に加入するだろうとはいえ、そのときに生命保険が自分とは縁遠く思える親しみのないものであれば加入するのを躊躇するのは当然だ。各生命保険会社は、若者が保険を身近に感じられるよう、加入を考えたときに自らの会社の名前を思い浮かべてくれるよう働きかけることが必要となる。

第一生命は、東京都や婚活パーティーサービスのPARTY☆PARTYと連携して「TOKYO恋結びプレミアムパーティー」を開催して婚活支援に取り組んだり、横浜市と子育て支援などに取り組む「横浜市と第一生命保険会社の子ども・青少年施策に係る包括的連携に関する協定」を締結するなど、若者や子どもに寄り添う取り組みを多く行ってきた。

これらの取り組みは一見保険会社の活動とは関係しないが、若者が保険加入を意識したときに第一生命の名前を思い出してもらうための働きかけにはなっているはずだ。20代限定のサラ川企画も、楽しみながら保険会社を身近に感じてもらう取り組みの一つなのだろう。

文=アステル 編集=石井節子

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