ビジネス

2021.12.30 12:00

会社へは 来るなと上司 行けと妻。第一生命、20代限定「サラ川」の理由


発表時、その言葉は死語か、健在か?



第34回サラリーマン川柳コンクール 特別企画 20代限定「#フォトサラ」

「#フォトサラ」は、お題となる写真のなかからピンとくる写真を選んで直感で一句詠むという企画だ。

上記のものは応募総数806句から選ばれたベスト3の1つである。おそらく就職活動中のワンシーンを切り取ったのだろう。担当者は「コロナ禍でオンライン面接が日常の一つになっており、かつ、だからこそ『張り切って家を出たのに!』という場面が思い浮かんで、くすっと笑った句でした」と印象を述べている。

今回は「20代という一瞬を過ごしている若者の日常をより際立たせる企画に挑戦したい」として、若者言葉を盛り込むイマサラの募集に踏み切ったという。

若者言葉は流行してから死語になるまでのスパンが短い。イマサラ募集時に若者言葉の例として挙げられていた「フロリダ(風呂に入るためSNSやチャットから離脱すること)」も、すでに2020年の段階で「10代女子が選んだもう使いたくない若者言葉・略語TOP10(バイドゥ調べ)」に選ばれてしまっている。

そもそも、「フロリダ」が流行していたことすら知らなかった筆者としては、2022年1月下旬の発表で果たしてどのような若者言葉が飛び出してくるのか、発表時にその若者言葉はまだ健在なのかを楽しみに待ちたい。

なぜ20代限定企画なのか


では、サラリーマン川柳のなかで、20代限定の企画を特別に立てているのはなぜなのか。昨今は、若者の保険離れが論じられて久しい。若者の関心を呼ぶべくこうした企画を立てているのではという仮説を立てていたのだが、どうやらそうではないようだ。

第一生命は、20代だけでなく、全国の自治体や警察と一緒に川柳で地元を盛り上げる「地元サラ川」や、春に入社予定の学生を対象にした「これからサラ川」など、幅広い層に楽しんでもらうための企画をサラ川を通じて行っている。その幅広い層に楽しんでもらう一角が、20代限定企画なのだという。

短い文章で表現をするのは、むしろ流行の言葉を次々に生み出し、SNSが身近で簡潔で伝わりやすい投稿をすることに慣れている若者の得意分野ではないか。第一生命の担当者たちは、そういう前提のもと、「5・7・5に乗せて楽しい句を詠んでほしい」「20代の方々にも川柳の面白さを伝えたい」と期待を込めて企画したのだ。
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文=アステル 編集=石井節子

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