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2021.12.15

スモール・ジャイアンツ アワードを開催。グランプリは生方製作所

ファイナリスト8社の代表と、藤吉雅春Forbes JAPAN編集長(左)、審査員の内田研一(右)


また、経皮吸収技術(薬などの成分を皮膚から吸収させる技術)に特化した化粧品や医薬品の製造販売を行うベンチャー、コスメディ製薬(京都府)にも、審査員の注目が集まった。2008年に「溶解型マイクロニードル技術」と呼ばれる、先端がヒアルロン酸やコラーゲンで構築された「溶ける針」の化粧品を世界で初めて製品化。中国を中心に、ヨーロッパ、ロシア、台湾、ベトナム、香港に展開。海外でも多数の特許を取得した。


コスメディ製薬 代表取締役社長 権英淑

京都薬科大学在学中に同社を先代から引き継いだ代表の権英淑は、「数百回、数万回説明しても理解されなかった技術力の高さと安全性を、特許の取得を通じて認知してもらっていった」という。同社は、既存のマーケットの常識を覆すような取り組みを推進していることが評価され、ゲームチェンジャー賞を受賞した。

ファイナリスト8社が受賞した特別賞は、以下のとおり(順不同)。

グランプリ 生方製作所

コスメディ製薬:ゲームチェンジャー賞
カンディハウス:ブランド賞
ミナミホールディングス:ローカルヒーロー賞
ワンチャー:グローカル賞
秋田今野商店:ジャパン・プライド賞
大和合金:カッティングエッジ賞
アバンティ:パイオニア賞

安全確保の「サイレントヒーロー」がグランプリ



生方製作所 代表取締役専務 生方眞之介

グランプリを獲得した生方製作所(愛知県)の創業は1957年。プレゼンテーションを行った生方眞之介代表が3代目となる企業だ。

同社は「世界に通用する技術と製品を提供し続けるセーフティイノベーター」という経営方針を貫き、エアコンやガス器具、自動車などに使われる安全確保のための配線器具やセンサー、スイッチなどの開発・製造に特化してきた。

開発から生産、販売、アフターケアに至るまで、国内だけでなく海外までも全て自社の「UBUKATAブランド」で展開。2019年には、至難とされていたEV(電気自動車)向けの高電圧直流遮断デバイスをリリースし、注目を集めている。

今回の審査ポイントは、グローバル市場の開拓、地域への貢献、高付加価値の創造の3つ。同社は、世界シェアの高さに加えて、従業員とのチームビルディングの良さも高く評価され、審査員の藤吉は、姿はなかなか見えないが製品や消費者の安全を守る「まさにサイレントヒーロー」と評した。

また、審査員の内田は、生方製作所の受賞理由について、ユニット部品に注力することから生まれる付加価値の高さと、全数検査を行う徹底ぶりについても言及。クオリティとこれからの期待値に賛辞を贈った。

グランプリを受賞した生方は、「受賞は同社を見守って頂いている全ての方々のおかげです。『サイレントヒーロー』としてのプライドを持って、今以上に社会に貢献していきたい」とコメントした。

小さな巨人たちのますますの活躍に期待が高まる。


◆当日の様子は、アーカイブで視聴できます

文=島田早紀 写真=大星直輝 編集=松崎美和子

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