ヴィンファストの親会のヴィングループ(Vingroup)は、ヴィンファストのすべての保有株式をシンガポールの子会社に譲渡し、来年後半に予定されているIPOに備えている。同社はこの上場により30億ドルの調達と、600億ドルの時価総額を目指している。
「ヴィンファストのIPOは、世界的ブランドになるための重要なステップであり、上場が成功すれば、ニューヨーク市場に上場する最初のベトナム企業となる」と、ヴィングループは12月4日の声明で述べた。
調査会社Guidehouse Insightsのアナリストは、テスラやリビアン、ルーシッドなどを例にあげ、「EV企業のIPOは成功が相次いでおり、投資家は自動車業界が電動化に向かうことに賭けている」と述べた。
ヴィンファストは、11月にロサンゼルスに米国本社を設立し、ロサンゼルスオートショーで2つのEVモデルを発表し、米国での存在感をアピールした。同社はまた、カナダ、フランス、ドイツ、オランダにも支社を置いている。
しかし、ベトナム国内においてもEVメーカーとしての知名度が低いヴィンファストが、米国を含む海外市場に参入するのは難しいとアナリストは考えている。ホーチミン市のコンサルティング企業Infocus Mekong Researchのラルフ・マトースは、「ベトナム製のEVは知名度が低く、ヴィンファストの米国でのマーケティング力は弱い」と指摘した。
1993年にファム・ニャット・ヴオン(Pham Nhat Vuong)が創業したベトナムの巨大コングロマリットのヴィングループは、不動産や小売、ホテルリゾート、スマートフォンの製造などを行っている。
調査会社Lux Researchのアナリストは、ベトナムの自動車メーカーは、製造大国である中国に比べて後れをとっていると述べた。しかし、調査企業のアライドマーケットリサーチは、2019年に1620億ドルだった世界のEV市場が、2027年には8030億ドル(約91兆円)に拡大すると述べている。
ヴィンファストは、グローバルなEVメーカーに成長するために、テスラやBMW、ポルシェ、トヨタ、日産の幹部らを採用している。同社の関係者は今年初め、一部のEV車両がテスラの同等モデルよりも低い価格で販売されることになると述べていた。