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2021.12.15 07:00

持続可能な航空燃料、価格は8倍 各社が大量生産目指す

Sjoerd van der Wal/Getty Images

航空業界は現在、新型コロナウイルスの流行により生じた危機から回復途上にある。2020年には、約1万7000機の旅客機が運航を停止した。

航空業界が世界の二酸化炭素排出量に占める割合は3%だが、大きなエネルギーを生み出せるジェット燃料は代替品がないことから、削減は難しい。とはいえ、航空燃料を供給するシェルやBPなどのサプライヤーは、より環境に優しいエネルギー源の開発に取り組んでいる。

2010年には、米空軍のA10攻撃機「ウォートホッグ」が、米フロリダ州の空軍基地で、菜種油を燃料とした試験飛行を行なっている。

水素や電池を使ったエンジンなどの代替動力源が使用可能になるのは2040年以降になるかもしれないため、当面の取り組みで重要なのは、よりクリーンで持続可能な航空燃料(SAF)の増産だ。シェルは、SAFの年間生産量を2025年までに200万トンに増やすことを目標としている。

2019年の世界のジェット燃料需要が3億3000万トンであったことを考えれば、これは大海の一滴だ。しかし、今年のSAF生産量がわずか約1億リットル、つまり10万トンだったことと比べると、200万トンは大きな改善だ。

SAFとは、持続可能な有機素材などを用いた燃料で、原材料となるものとしては動物や植物由来の食用油や廃棄油(パーム油を除く)、食品廃棄物、包装や紙、布地、林業による廃材などがある。有望な材料としてはこのほか、成長速度が速い植物や藻類などのエネルギー作物や、排ガスから作られる「合成SAF」などがある。

SAFの概念はエタノールと似ていて、新しいものではない。バイオマス燃料は少なくとも1850年代までさかのぼる。米国などで供給されるガソリンの多くにはエタノールが含まれている。エタノールの原料は米国ではトウモロコシ、その他の地域ではサトウキビやビートであることが多い。

しかしBPは、航空業界でのエタノールとSAFの決定的な違いについて、「ジェット燃料は重量の割に大きなエネルギーを生み出す。民間航空便を可能にしたのは、このエネルギー密度だ」と説明。精製されたSAFは「化学的に見ると従来の化石ジェット燃料に非常に似ている」と指摘している。
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編集=遠藤宗生

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