100秒以内に購入せよ! シンガポール発の買い物アプリが日本上陸へ

ゲーム感覚で買い物できるアプリ「カイカイ」


ブランド側のメリットは?


カイカイに出店しているブランドや小売店からは、リアル店舗への送客機能に期待する声が多く挙がっている。コロナ禍で店頭での買い物に消極的になった消費者に対して「店舗に足を運ぶ理由」を作り、買い物の楽しさを思い出してもらうと同時に、他の商品や他店への買い回りも促したい考えだ。

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予約したアイテムは一覧で確認できる。受け取りは、指定の店舗でQRコードをスキャンするだけ

すでに日本での出品が決まっているグローバルラグジュアリーブランドも、送客に期待している。担当者はその理由を次のように語る。

「コロナによってオンラインにおけるUI・UXは非常に改善されました。しかしやはり店頭でスタッフと会話して新しい商品を発見してもらったり、実際に手にとって鏡越しにその商品を見たりすることで得られる価値は、リアルでのみ提供可能だと思っています」

コロナ禍で遠のいた足を戻すには、「新しい買い物体験」が必要になる。そこでカイカイのイベント性に期待がかかる。

「これまではDMやテレビCMなどで来店を促進してきましたが、カイカイが実現するのはその先の世界観。”楽しい”と思える買い物体験で、来店につながるのでは」と、同ブランド担当者は言う。

高橋によると、特に日本の消費者に関しては、そもそも「リアル店舗での買い物が好き」という人も多い。

「経済産業省が2020年に発表した『電子商取引に関する市場調査』によると、BtoCの物販(食品、衣料品、電化製品など)におけるEC化率は世界平均で18.0%なのに対し、日本は8.08%。まだまだリアルにも商機があります」

競合がひしめく日本での戦略は?


日本には、すでに店頭受け取りサービスを導入しているECサイトも多く、上陸にあたっては競合がひしめく状態ともいえる。しかし、Cosmose創業者で2018年にForbes「30 UNDER 30 Asia」にも選出されたミロン・ミロニウクCEOは自信を示す。

「日本には非常に有力なオンラインショッピングモールのプレイヤーが存在することは知っていますが、市場が競走環境になることはテクノロジーの発展には欠かせません。イベント性を取り入れた独自のUXや技術で、差別化を図っていき、必ず日本のユーザーにも受け入れてもらえると信じています」

高橋によると、日本ローンチに際して目標にしていた「10ブランド以上の出品」は確保している。ただ、ユーザー数を増やすためには「アイテム数」がカギになるため、コスメの出品に特に力を入れるのだという。

「ラグジュアリーブランドのバッグやアクセサリーは、購入頻度が低い商品です。ユーザーにアプリを起動する頻度を高めてもらうためにも、まずは手軽に購入しやすいコスメを揃えることに注力します」

将来的には大きな会場に出店ブランドを集めて「カイカイ」を通じて購入してもらう、オンラインとオフラインを融合したイベントの実施なども構想している。
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文=尾田健太郎 取材・編集=田中友梨 撮影=杉能信介

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