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2021.12.13 18:00

巨額寄付で注目集めるベゾス元妻M・スコット、活動方針を変更?

マッケンジー・スコット(Getty Images)

アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスの元妻、マッケンジー・スコットは2019年の離婚以降、過去に例を見ないペースで慈善団体への寄付を行ってきた。

保有資産およそ580億ドル(約6兆5700億円)と推定される彼女はこれまでに、ジェンダー平等や人種間の平等の実現、公衆衛生対策の推進といった問題に取り組む780以上の団体に、合わせて約86億ドルを寄付してきた。

そのスコットが先ごろ、自身の寄付に関する方針を一度、180度転換した。透明性を保ちたいとの考えからすべて公表してきた寄付先と寄付額について、「詳細を伏せることにした」と明らかにしたのだ。

離婚後はメディアのインタビューに応じることなく、ブログサービスのミディアム(Medium)の投稿のみで慈善活動について情報を公開してきた彼女は、「今年はさらに多くの金額を寄付した」とつづるにとどめた。

そうすることに決めたのは、多額にのぼる自らの寄付が、あまりにも多くの注目が集めるためだったという。「慈善活動の定義は、より幅広いものであるべきだ」というのが、彼女の考えだ。

「慈善活動」には、一般の人たちが行う少額の寄付も、友人や家族の間の助け合いやコミュニティーにおける支援も、さらには黒人男性ジョージ・フロイドの死をきっかけに2020年、各地に広まった人種差別に抗議する「人道的な訴え」さえも、含まれるべきだという。

ただ、スコットはこの投稿の2日後、新たに示した方針を修正。寄付先は今後、明らかにするとした。自身ではなく寄付先に注目が集まるようにするため、「公表するかどうかは各団体の意志に任せたい」としたものの、自らの活動の透明性について、混乱を招いたことが理由だという。

異例の慈善活動


スコットは経済的に豊かな人たちが行う寄付について、従来からの基準、つまり金額によって、過度の注目を得るべきものではないとの見方を示している。

フォーブスは、巨額の資金はそれを保有する人に大きな権力を与えるものだからこそ、何十億ドルもを自由に使える人たちには、より厳しい目が向けられるべきとの考えだ。だからこそ、世界の最も裕福な人たちが持つ富を明らかにし、彼らの慈善活動を追跡することに多くの時間を費やしている。

先ごろ発表した「世界で最も影響力のある女性」で、フォーブスはスコットを首位に選出した。それは、彼女が保有する巨額の、そして寄付しうる資金のためであり、彼女が慈善活動に関する透明性を保ってきたためでもある。

さらに、さまざまな問題に取り組む数多くの非営利団体が目標を達成するためには資金が必要であることを彼女が理解し、切迫感を持って活動してきたためでもある。

一方、スコットは寄付を行うスピードだけでなく、「紐を付けない」ことでも話題を呼んできた。寄付金の使い道は受け取った団体が自由に決められるようにしており、自ら特定することはない。

最終的に自身の“金庫が空になるまで”、寄付を続けたいとしているスコットは、今年6月にはブログで、「少数の人に富が集中する不均衡な状態が解消されること願っており、その富を持つ人たち以外によって、問題の解決策が見出されるべきだ」とコメントしている。

編集=木内涼子

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