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朝日新聞外交専門記者

林芳正外相(Photo by Anthony Devlin - WPA Pool/Getty Images)

米ホワイトハウスが12月6日、来年2月に行われる北京冬季五輪開幕式に政府代表団を送らない「外交ボイコット」を行うことを明らかにした。新疆ウイグル自治区での人権問題などを問題視した。岸田文雄首相は7日、記者団に対して「オリンピックの意義ですとか、さらには我が国の外交にとっての意義などを総合的に勘案し、国益の観点から自ら判断していきたい」と述べた。各種報道にもあるように、最終的には米国に同調し、閣僚を派遣しない方針で固まったように見える。

政府関係者によれば、外務省内はまず、「首相や外相の出席はないだろう」という見方で一致していた。最近でこそ、首相クラスの五輪開会式出席が続いていたが、これは今年開かれた東京夏季五輪を意識したパフォーマンスで、元々は副大臣や政務官、あるいは五輪担当閣僚が参加するのが通り相場だったからだ。逆に言えば、「副大臣クラスの出席もありうるかもしれない」という見方もあったようだ。

しかし、今の岸田官邸と外務省には、中国や韓国に対して弱腰と批判される状況を恐れる空気が充満している。すでに、林芳正外相が就任会見で「無用の誤解を避ける」として、これまで務めていた超党派の日中友好議員連盟会長を辞任すると表明した。林氏は確かに中国や韓国の事情に明るいが、別に中韓に特におもねった発言をしてきたわけではない。むしろ、自民党でも有数の知米派に数えられる。

林氏が文科相だった時代、国際会議に出席した。外務省関係者は当時、「文科省じゃあ、英語資料の翻訳などが大変だろう」とうわさし合った。ところが、文科省の担当者はけろりとして「ああ、大臣からは英語の資料はそのまま渡してくれれば良いし、自分たちの資料も英語に訳す必要はないと言われてますから」と答えたという。今年11月17日にあった訪日中のキャサリン・タイ米国通商代表との会談では、林氏はやはり、最初から最後まで英語で通した。事務方は当時、事前に日本語の説明資料とトーキングポイントしか用意していなかった。この会談後、林氏の会談には、少なくとも特殊な専門用語については英語の資料をつけるよう改めて周知徹底したという。

林氏を古くから知る関係者は「彼の頭は(政界入りする前に働いていた)商社マンそのものだよ」と語る。「彼はどうやったら利益を上げられるか、いつも考えている。そのためには、まず会って話を聞くというスタイル。別に中国や韓国におもねっているわけじゃあないんだけどね」と語る。

文=牧野愛博

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