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2021.12.14 07:00

ベンチャーキャピタル、「勝者がより勝者に、強者がより強者に」

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発売中のForbes JAPAN2022年1月号の特集「日本の起業家 ランキング2022」では、海外機関投資家からの資金流入をはじめ、続々とユニコーンが誕生するなど、ゲームチェンジさなかの「新たなフェーズ」に突入した日本のスタートアップ・エコシステムの全貌について掲載している。

今後、ウェブ版では「スタートアップ・トレンド」と称して、著名投資家20人以上へのインタビューを連載形式で掲載していく。Vol.6では、MINERVA GROWTH PARTNERS・創業パートナーの長澤啓・村島健介、ANRI・代表パートナーの佐俣アンリへのインタビューを掲載する。(Vol.1Vol.2Vol.3Vol.4Vol.5はこちら)

米国市場の動きを辿り、プレIPO大型化、大型IPO増へ

━━ MINERVA GROWTH PARTNERS・創業パートナー 長澤啓 / 村島健介

2021年を象徴するのは、「スタートアップによる大型調達の激増」「クロスオーバー投資家の積極的参入」だろう。資金という観点で、圧倒的な環境変化が起きたといえる。

上場が視野に入るレイトステージの大型ファンド組成が多かった1年だった。我々の1号ファンドは192億円で組成し、海外投資家が6割超を占める。香港拠点の上場株ファンド、プレイアド・インベストメント・アドバイザーズとの共同運営により、投資先の上場後に同ファンドに株式を移し、長期にわたり企業を支援できる。

我々のような海外の資金をバックに持つグロースファンドが増え、かつ、クロスオーバー投資家も参入し、IPO(新規株式公開)をまたいで長期間保有して支援することを掲げるファンドが増えてきた。また、エクイティに限らず、デットについても、メガバンクをはじめ、スタートアップに積極的な姿勢だ。

こうしたなか、スタートアップの大型調達が激増した。海外クロスオーバー投資家が出資したSmartHR、スマートニュース、投資先のアンドパッドキャディ、ユニファなどだ。大型調達上位は、SaaS企業の割合が極めて大きかった。IPO市場も堅調だったこともあり、未上場企業の資金調達環境もよかった。

21年のスタートアップのイグジットにおける大きな出来事は、米ペイパルによるPaidyの3000億円買収であり、米グーグルによるPringの買収だろう。これまでは、KDDIによるソラコムの200億円買収が最大級だったことを考えると、この金額感での買収は大きな転換点となるのではないか。

また、資金とともに人材も厚くなった点も特徴だ。プロ経営者人材や上場企業経営経験者の参画も続いた。投資先のアンドパッドに、ミクシィの元CFOの荻野泰弘さんが参画。最近では、タイミーにディー・エヌ・エーの元社長の守安功さんがCOOとして参画するなど、これまでにない動きもあり、「一気にいろいろなことが起きた1年」だったといえる。

こうした資金や人の流れは、今後も続く。米国プライベート市場の動きを辿っていくと考えると、大型のプレIPOラウンドの調達はますます盛り上がり、IPOの大型化の流れは進んでいく。

クロスオーバー投資家などのレイトステージ投資家の増加により、競争環境が厳しくなったとも言えるが、むしろスタートアップが未上場のまま、よりスケールを目指す傾向が高まっているので、全体としてはポジティブだ。上場6〜12カ月前のIPO直前にバリュエーションのベンチマークをつくるために、株主構成をクロスオーバー投資家に入れ替える事例がさらに増えていくのではないか。
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文=Forbes JAPAN 編集部

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