16年7月に創業されたファインディは、組織のパフォーマンス向上という視点からエンジニア不足の解消にアプローチする。同社では今年10月19日、「Findy Teams」というエンジニアマネジメント専用のクラウドサービスをローンチ。
その背景や現況についてCEOの山田裕一朗に聞いた。
「エンジニア不足のソリューションは大きく4つ。一つは採用、次に退職率を下げるためのマネジメント、三つ目が育成によるエンジニア個人の生産性の向上、最後に外部パートナーとの円滑な協業体制の確立です。これまで採用分野の事業を展開してきましたが、他の三つを支援できる機能を展開したいと考えました」
組織のパフォーマンスを数値化
エンジニア業界の特徴の一つに、「マネージャー職を希望するエンジニアが少ない傾向がある」と山田はいう。
ファインディが行ったアンケートでは、54%が「テックリード(エンジニア組織の技術面でのリーダー)を目指している」と回答。一方、組織を統括するマネージャー職を希望する層はわずか10数パーセントに過ぎなかった。
マネージャーの慢性的な不足に加え、近年ではコロナ禍を背景としたリモートワークも定着。コミュニケーションの減少や副業・フリーランスなどジョブ型エンジニアとのプロジェクトなど、エンジニア組織をマネジメントする困難さが一層増している。
「企業のなかでは、一人のマネージャーが数人もしくは十数人をマネジメントしているというケースがざらにあります。Findy Teamsは、そんなチームを統括するマネージャーの負担を減らすこと、そして組織のパフォーマンスを最大化する気づきを提供することにフォーカスしています」
Findy Teamsは、ギットハブでの行動データをもとに、エンジニアメンバーの作業量や貢献度を数値化。デイリーレポートやチームコンディションなど、エンジニア個々人や組織のパフォーマンスをデータとして可視化できる機能がある。
提供=Findy
またエンジニア自身が自分の生産性を確認できる仕組みや、社外組織と自社組織のパフォーマンスの数値を比較する機能なども実装されている。
ローンチから間もないため、利用企業での変化は今後現れてくると予想されるが、自社で導入すると、作業効率は4〜5倍に上昇したという。
「興味深いのは、導入企業のなかで、マネージャーだけでなくエンジニア自身が機能を有効活用している事例が増えていることです。もともとエンジニアは成長意欲が高い。自分の課題をみつけて改善した結果、わずかな期間にパフォーマンスが数倍も跳ね上がったというケースも報告されています」と山田は話す。
エンジニア不足という言葉は、解けない呪いのように幾度となく反芻されている。しかし、データで実態が可視化されていけば、より有効な解決方法が見えてくるはずだ。両社のアプローチに次ぐ、新たなソリューションの登場に期待したい。
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