テクノロジー

2021.12.16 08:30

逆戻りはできない? 生活に浸透したバーチャルアシスタントの功罪

Luis Alvarez / Getty Images


このような提案が実施されると、さらなる問題が必ず生じるため、境界線を確立し、人々とその機密情報を守るためには包括的な議論が必要です。Deloitte AI Instituteおよび米国商工会議所テクノロジーエンゲージメントセンター(Chamber Technology Engagement Center)の研究では、AIのメリットが十分に発揮され、そのリスクに対する懸念がイノベーションの妨げにならないために、産業界と政府がどのように協力できるかについて詳しく説明しています。
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チャットボットとバーチャルアシスタントは、永遠に


アラビアンナイトの魔神のように、すでに普及しているバーチャルアシスタントのチャットボットを元のランプには戻すことはできません。NLPを搭載したチャットボットは定着し、その機能は今後さらに拡大していくでしょう。

この状況は、チャットボットやプラットフォームの開発者、医療関係者、学界、規制当局、さらには社会全体といった複数部門のステークホルダーが力を合わせて、チャットボットを管理するためのフレームワークを設計する機会となります。

世界経済フォーラムは、医療、政府、企業の専門家を世界中から招集し、医療におけるバーチャルアシスタントを、責任をもって使用するための規制フレームワーク「チャットボット・リセット(Chatbots RESET)」を構築しました。このフレームワークでは、法律、プライバシー、セキュリティの課題に加え、公平性とアカウンタビリティの必要性に取り組み、また共同制作者は、医療以外の産業にも適用可能な、倫理原則と運用ガイドラインを確立しています。
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イメージ: 世界経済フォーラム

近い将来、効果的なガバナンスの下、異なる言語で話している人々のZoom会議がリアルタイムで翻訳され、各参加者が各自の言語で音声を聞くことができるようになるでしょう。書記が必要な会議では、NLPによりバーチャルアシスタントが聞き取り、まとめ、要点を推測できるようになり、顧客から製品に関する苦情の電話があった場合には、担当者に引き継ぐべき的確なタイミングをチャットボットが伝えられるようになります。

チャットボットの有効性は、企業にとってコスト削減につながることは間違いありません。しかしそれ以上に、このようなバーチャルアシスタントにより、日常的に簡単な質問に対応している従業員を、より有意義で高い技能が要求される、高給の仕事へ配置転換するという道が開かれます。その結果、企業は離職率を下げることができるでしょう。週に100回も、同じ質問をされたい人などいないのですから。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>

文=Beena Ammanath, Executive Director, Deloitte AI Institute and Trustworthy and Ethical Technology, Deloitte / Kay Firth-Butterfield, Head of Artificial Intelligence and Machine Learning; Member of the Executive Committee, World Economic Forum

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