元の勤め先から「復帰するつもりはないか」と尋ねられた際に、乗り気でない態度を示す人もいるだろう。今の仕事に満足していて、オファーを丁重に断るケースもある。また、元いた会社に復帰することにきまりの悪さを覚えるというのも、よくある話だ。これは、生まれ育った小さな町から大都会に出て行ったものの、うまくいかずに戻ってくる時と同じような心境と言える。
元いた会社に復帰すると、自分のキャリアが前進せず、むしろ後退しているように感じられることもある。願ってもない最高のチャンスを提示された場合でも、こうした心境に陥ることはある。
また、企業文化や同僚、上層部とそりが合わずに辞めたケースもある。こうした要素に変化が見られないのであれば、元従業員にとって、戻るという選択肢は魅力的に映らないはずだ。
プロフェッショナル向けの匿名投稿プラットフォーム「ブラインド(Blind)」は、ブーメラン従業員というこのトレンドについて調査を行った。
認証済みのプロフェッショナル3129人を対象とした同アプリの調査では、「自身の現在の勤め先は、選考プロセスの中で、元従業員に対して公平に接していると思う」と回答した者の割合は、全体の42%に達した。
対照的に、「ブーメラン従業員になる可能性のある応募者は、新規で応募してきた求職者と比べて公平に扱われていない」と考える人の割合は14%だった。残りの44%は「わからない」という回答だった。「大退職時代」の到来を受け、この1年にこれまでの仕事を辞めた多くの米国人にとっては、この調査結果は歓迎すべき情報と言えるかもしれない。
また、現在面接担当者を務めている人のうち9割近くが、以前自身の会社で働いていた人が復帰しようとして応募してきた場合、その人を「より肯定的に見る」と回答した。「より否定的に見る」と回答した人の割合は14%にとどまった。
ブラインドの調査では、リンクトインで職務の一環として面接担当者を務めている同社勤務のプロフェッショナルは、全員が、リンクトインの元従業員にプラスの評価をしていることもわかった。また、アドビ、キャピタル・ワン、エクスペディア・グループ、グーグル、インディード、メタ(旧フェイスブック)、セールスフォース、ウーバー、VMウェア、ジロウ・グループでも、面接担当者は10人に9人以上の割合で同様の回答をしている。
元従業員の活用は、人材の金脈を生み出すだけでなく、他の面でも企業にメリットを与える可能性がある。ブーメラン従業員は、企業文化を理解し、社内事情もわかっている上に、離職後に働いていた企業から得た新鮮な視点を提供してくれるかもしれない。
就職先が見つからずに苦労している求職者も、このブーメラン現象が注目を集めるに従って、今後は元上司に復帰の打診をする際に抵抗感が和らぐはずだ。