ブレゲを代表するドレスウォッチ、「トラディション」の面白さ

BREGUET Tradition 7057

デジタルマーケティング会社、RFA digital brainsの領家航社長。ブレゲの「トラディション」を語る。


弊社はクライアントワークをやっているので、ブランドアイデンティティを大事にしているメーカーの商品が欲しいな、と思い、ブレゲを購入しました。

そう語るのは、デジタルマーケティングとクリエイティブをかけ合わせた、総合的なマーケティング支援を行っているRFA digital brainsの社長、領家航だ。そして、そのブレゲの数あるモデルのなかから彼がチョイスしたのが「トラディション」である。「トラディション」は、ブレゲを代表するコレクションであり、伝統を受け継いだドレスウォッチではあるが、ダイヤル側から機械が見えるという、一見、ほかと違った顔をもつ。なぜ、このモデルを選ばれたのだろうか。

「まず、見た目です。メカが見えていて、よく見るとゼンマイが回っているので、面白いというのがありました。また、クリエイター、マーケターという観点からも、ファッションなどと一緒で、これが自分のアイデンティティなんだ、というようなこだわりが詰まってる感がすごくいいなと思って。文字盤が小さかったり、手巻きだったり、少し手間がかかるところも含めて気に入っています」

購入したのは6年半ほど前。この時計は「見た瞬間にビッときた」そうだ。きっかけは、2009年に会社を設立したときにたてた、5年目までにやり遂げていたいことの目標を達成したからだという。

「その目標達成のタイミングでクルマと時計を買おうと決めていたんです。なんとか目標達成して両方買いました。クルマはポルシェ911のGT3です。GT3は左ハンドルしかないんです。左腕にトラディションを着けると、ちょうど歩道側。そちらにいる人から見えるのもいいな、と」

購入時は現金300万円をもって、先に購入したポルシェでブティックへ赴き、そのまま一括で購入したのだとか。なんとも豪快なエピソードである。

そんな領家は経営者のみならず、クリエイターの顔ももつ。何かを考えるとき、生み出すとき、時間をどう使っているのか?

「クライアントワークは時間との闘いです。アイデアが出なくても時間は待ってくれないので。ある意味、時間は敵のように感じることもあります。ただリモートワークが増え、ほぼ出社しないような状態になってその感覚は変わってきました。移動時間がなくなり、家族と過ごす時間が長くなることで、かつでは敵だと思ってた時間が、優しい顔を見せてくれるようになったと感じています」

時間というのは、使い方次第で敵にも味方にもなるようである。


左 / テンプに青焼きの部品があるが、これは「パラシュート機構」と呼ばれる耐衝撃吸収機構となっており、見た目とは違い、衝撃に強いモデルでもある。 右 / ケースバックからも搭載のCal.507DRIが見られる。ムーブメントは、手巻きの3振動/秒とロービートである。

懐中時計時代に創始者アブラアン=ルイ・ブレゲが考案した「スースクリプション」という時計からインスピレーションを受けて2005年に製作された「トラディション」。通常、文字盤に覆われている脱進機、香箱、輪列など、ムーブメントにおける重要な部位を見ることができるのも、このモデルの大きな特徴である。ブレゲ針、ギョーシェ彫り、コインエッジなど、ブレゲ伝統の意匠が使われている。

BREGUET Tradition 7057

ムーブメント|手巻き Cal.507DRI
ケース素材|18Kホワイトゴールド
ケース径|40mm
価格|338万8000円
問い合わせ|ブレゲ ブティック銀座 03-6254-7211


領家 航 RFA digital brains代表取締役社長◎
2001年、GMOインターネットに新卒第1期生として入社。マーケティング、新規事業開発、メディアや企業のM&Aを担当。その後2009年RFA digital brainsを設立。大手食品メーカーや自動車、化粧品など多くのクライアントの企業課題に従事する。

text by Ryoji Fukutome | illustration by Adam Cruift | edited by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.088 2021年12月号(2021/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

連載

WATCH & JEWELRY

ForbesBrandVoice

人気記事