植野:ほぼプレイングマネジャーみたいな動き方ですね。ほかのCxOと役割分担は考えますか?
リュウ:私は会社をよくできるなら、どこにでも入り込んで働きたいです。自分の守備範囲を決めない。今回、最初のヒアリングで、直接の業務で関わる人たち以外、あまりマーケティングチームと話をしていないとわかりました。
彼らの悩みを聞くと「採用に苦労していて、もう何カ月も人が採れていない」と。採用で使う資料を見せてもらったら、会社の良さを伝えられていなかったんですね。そこで、どんな人を採りたいかというターゲットも一緒に議論しながら説明資料をつくり直したところ、うまくいきました。
「同じことだけやり続けて『これしかできない人』になってしまうのは、キャリアのとってのリスクだと思うんですよ」
植野:採用もマーケティングですよね。さらにCMOだと組織の上のほうから全体を見渡せる。
リュウ:そう。ビッグピクチャーは上の人が見えていないと。いまどういう状況になっているか、どこにリソースを投下すべきか。組織の下まで行くとどんどん細かい作業になっていきますから、必ず全体像を見るのがCxOの役割だと思います。
「CxO」のビジョン、三カ条(リュウ・シーチャウ)
一、人を大事にする。ひとりの個人として相手を見る。
二、自分の守備範囲を決めず、どこにでも入り込む。
三、戦略を描くため、必ず全体像を見る。
リュウ・シーチャウ◎2008年、一橋大学卒業。P&G、レキットベンキーザー・ジャパンで消費財カテゴリーのマーケティングを担当後、ジョンソン・エンド・ジョンソンのマーケティング本部長に就任。全ブランドの売り上げと収益責任を負いデジタル戦略を統括。2年間で全ブランドのマーケットシェア向上を実現後、ジョンソン・エンド・ジョンソン香港の現地法人社長に赴任。FOLIOのCMOと副社長を経て20年7月より現職。
うえの・だいすけ◎DX JAPAN代表。早稲田大学政治経済学部卒業、MBA取得、商学研究科博士後期課程単位満了退学。三菱商事入社、ローソンへ約4年間出向、PontaカードなどのDXを推進。ボストンコンサルティンググループを経て、ファミリーマートへ。ファミペイの垂直立ち上げなどDXを統括・指揮。