キャリア・教育

2021.12.10 10:35

マーケターとして飛躍。事業責任者も経験したCMOが語るキャリアの描き方


植野:ほぼプレイングマネジャーみたいな動き方ですね。ほかのCxOと役割分担は考えますか?

リュウ:私は会社をよくできるなら、どこにでも入り込んで働きたいです。自分の守備範囲を決めない。今回、最初のヒアリングで、直接の業務で関わる人たち以外、あまりマーケティングチームと話をしていないとわかりました。

彼らの悩みを聞くと「採用に苦労していて、もう何カ月も人が採れていない」と。採用で使う資料を見せてもらったら、会社の良さを伝えられていなかったんですね。そこで、どんな人を採りたいかというターゲットも一緒に議論しながら説明資料をつくり直したところ、うまくいきました。


「同じことだけやり続けて『これしかできない人』になってしまうのは、キャリアのとってのリスクだと思うんですよ」

植野:採用もマーケティングですよね。さらにCMOだと組織の上のほうから全体を見渡せる。

リュウ:そう。ビッグピクチャーは上の人が見えていないと。いまどういう状況になっているか、どこにリソースを投下すべきか。組織の下まで行くとどんどん細かい作業になっていきますから、必ず全体像を見るのがCxOの役割だと思います。

「CxO」のビジョン、三カ条(リュウ・シーチャウ)


一、人を大事にする。ひとりの個人として相手を見る。
二、自分の守備範囲を決めず、どこにでも入り込む。
三、戦略を描くため、必ず全体像を見る。


リュウ・シーチャウ◎2008年、一橋大学卒業。P&G、レキットベンキーザー・ジャパンで消費財カテゴリーのマーケティングを担当後、ジョンソン・エンド・ジョンソンのマーケティング本部長に就任。全ブランドの売り上げと収益責任を負いデジタル戦略を統括。2年間で全ブランドのマーケットシェア向上を実現後、ジョンソン・エンド・ジョンソン香港の現地法人社長に赴任。FOLIOのCMOと副社長を経て20年7月より現職。

うえの・だいすけ◎DX JAPAN代表。早稲田大学政治経済学部卒業、MBA取得、商学研究科博士後期課程単位満了退学。三菱商事入社、ローソンへ約4年間出向、PontaカードなどのDXを推進。ボストンコンサルティンググループを経て、ファミリーマートへ。ファミペイの垂直立ち上げなどDXを統括・指揮。

文=神吉弘邦 写真=momoko japan

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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