キャリア・教育

2021.12.10 10:35

マーケターとして飛躍。事業責任者も経験したCMOが語るキャリアの描き方

Forbes JAPAN編集部

植野大輔(左)、リュウ・シーチャウ(右)

CxO(シーエックスオー)は、トップであるCEOを組織の要として支えるスペシャリストたち。CCO、CFO、CIO、CLO、CMO、COO、CSO、CTO……こうした役職に必要な能力と条件、その立場から得られる知見とは? ローソンとファミリーマートのデジタル戦略を担った「コンビニの改革者」の植野大輔が、注目の人物にインタビューするシリーズ。

第4回目は、レノボ・ジャパンCMOのリュウ・シーチャウをインタビュー。日本の大学で組織論を学んだ後、マーケターとして飛躍。事業責任者も経験したCMOが語るキャリアの描き方。


植野:中国から来日したのが18歳ぐらいですね。

リュウ:高校を卒業してから日本に来て、そこから語学学校に2年ほど通いました。受験勉強も一緒にして、留学生試験に受かり一橋大学に入ったんです。

大学時代は10社ほどスタートアップでバイトやインターンをして、楽しんでビジネスを実感できました。新卒では逆にこの機会でしか入れない大企業に入ろうと。そうすれば将来的に大きいところでも小さいところでも働けるようになるんじゃないかなって。

植野:末恐ろしい大学生ですね。最初に入ったP&Gの仕事はどうだったんですか?

リュウ:あまり数字が伸びなかった担当ブランドのシェアを毎日見てはへこんでいた4年間です。いろんな施策を打ってもうまくいかなかった。だから、次は私自身でブランドのポテンシャルを伸ばせると思う会社を選びました。レキットベンキーザーの「ドクター・ショール」というフットケアのブランドで、売り上げが3年で2.5倍ぐらいになりました。

植野:P&Gの次は大成功されたわけですね。

リュウ:自分にとってチャレンジが少なくなったなと感じていたとき、J&J(ジョンソン・エンド・ジョンソン)がマーケティング本部長を探していると知ったんです。ある意味、日本のCMOですね。あのとき31歳で経験も浅いから、まさか受かると思わなかったけど、歴代最年少のディレクターでした。

植野:いきなりCMOのポジションだと、苦労があったんじゃないですか。

リュウ:私はグランド戦略のほうが好きなので、実は向いていました。このリソースをどう配分すべきか、組織をどうつくるのか、そういうことを考えるのが楽しいです。

植野:なぜ、いきなり組織デザインができたんですか。

リュウ:大学で組織論を専攻したこともあり、「同じ人が働いていても、組織のつくり方でパフォーマンスや人のモチベーションが違う」と知っていました。

植野:やはり末恐ろしい大学生だった(笑)。大企業の組織や構造などを社会経験もなく学ぶと、ともすると頭でっかちで終わるパターンじゃないですか。

リュウ:そういうことを実践的に考えるのが私は好きだったんですよ。だから一條先生(一條和生、一橋大学大学院経営管理研究科教授、専攻長。経営学博士)とはいまだに仲がいいですね。
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文=神吉弘邦 写真=momoko japan

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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