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2021.12.09 14:30

責任逃れに終始した「堕ちた起業家」セラノス創業者の裁判

Justin Sullivan/Getty Images

セラノスの創業者で元CEOのエリザベス・ホームズの弁護団は12月8日、7日間にわたった彼女の法廷での弁護を終了した。その間、彼女は後悔の念を表明し、元恋人でビジネスパートナーのサニー・バルワニを非難し、外部企業の血液検査装置の使用を隠蔽した理由を聞かれた際には、会社の弁護士から「企業秘密」にあたると言われたからだと述べ、投資家や患者たちを欺いていないことを陪審員たちに納得させようとした。

被告人弁護士の一人は、彼女が故意に誤った情報を広めて投資家を集めたのか、と尋ねたが、これに対しホームズは、「そんなことはありません」と答え、誰も欺いていないという主張を繰り返した。

現在37歳のホームズは、投資家の誤解を招いたとして11件の詐欺罪で起訴されたが、無罪を主張している。それぞれの罪の最高刑は懲役20年とされている。

先週、彼女はセラノスが投資家に送った報告書にファイザーとシェリング・プラウ社のロゴを貼り付けつけていたことについて証言し、「違うやり方をしていればよかった」と語った。この書類によって、多くの人がセラノスのテクノロジーが大手製薬会社の支援を受けていると思い込んでいた。

ホームズは反省の色を見せつつも、従業員たちに責任を押し付け、「会社の技術が正しい方向に向かっている」と彼らから聞いていたと主張した。しかし、ワシントンポストによると検察側は、彼女が当時、セラノスが謳う血液検査装置の機能が、実際に存在しないものであることを知っていたことを強調することで、彼女の主張を否定しようとしたという。

ホームズはまた、当時の恋人のバルワニ(56)が彼女を精神的・肉体的に虐待したことで、CEOとしての判断に影響を与えたと主張した。バルワニはこの告発を否定し、来年の詐欺事件の裁判に出廷する予定という。

英紙ガーディアンの報道によると、彼女はしばしば質問をはぐらかし、「知らない」「覚えていない」と話した。また、外部企業の血液検査装置の使用を隠蔽したのは、弁護士から「企業秘密」に関わると言われたからだと主張した。

裁判を通じて、政府はホームズがそもそも存在しない技術で会社を立ち上げ、投資家や医師、患者らを欺いたと主張した。これに対し、彼女の弁護団は、ホームズが成功のために最善を尽くした起業家であることを印象づけようとした。

「セラノスの技術は、わずか数滴の血液で200の医療診断を可能にする」と主張するホームズは、メディアの注目を集め、同社の技術が米軍にも使用されているなどの虚偽の宣伝も行っていた。

ルパート・マードックやヘンリー・キッシンジャーなどの著名な投資家の支援も受けたセラノスは、10億ドル近くを調達した。しかし、2015年にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記者のジョン・カレイロウが、従業員の内部告発に基づく一連の暴露記事を発表して以来、セラノスの信用は失墜した。

この裁判の最終弁論は、来週行われる予定だ。

編集=上田裕資

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