コロナ「オミクロン株」、ワクチン製造各社の対応の現状

Sergio Flores/Getty Images

これまでに確認された新型コロナウイルスの変異株の中でも、特に変異が多い「オミクロン株」の出現は、各国で接種が進められてきたワクチンの効果を低下させるのではないかとの懸念を広めている。

米国で現在、最も広く使用されている新型コロナウイルスワクチンを製造する各社は今のところ、オミクロン株について次のような対応を取っている。

・モデルナ:スティーブン・ホーグ社長は、すでにオミクロン株を標的としたブースター(追加)接種についての研究と、オミクロン株を含む複数の変異株に有効な多価ワクチンの開発に着手したことを明らかにしている。既存のワクチンの有効性が低下するのであれば、投与量を増やすことで対応することも検討する考えだという。

また、ステファン・バンセルCEOは、オミクロン株に特化したワクチンを開発し、出荷を始めるまでには数カ月がかかるとの見通しを示している。

・ファイザー/ビオンテック:ビオンテックのウグル・サヒンCEOは、既存のワクチンに重症化を防ぐ効果は十分にあるとして、より楽観的な見方を示している。ブースター接種は、オミクロン株の感染を防ぐ効果を高めるはずだという。

ただ、接種を完了しても感染する「ブレイクスルー感染」は増える危険性があると警告。今後ワクチンの修正が必要になる可能性があることも認めており、必要となれば、100日前後で出荷を開始できると述べている。

・ジョンソン・エンド・ジョンソン:すでにオミクロン株に対応する新たなワクチンの研究を開始。また、既存のワクチンのブースター接種の臨床試験に参加した人たちの血清を調べ、オミクロン株に対応する中和抗体ができているかどうかについても確認中だ。

・ノババックス:「(抗原となる)ウイルスの一部のタンパク質を使用することで免疫反応を促す」という従来からある技術を用いる同社も、既存のワクチンのオミクロン株への効果に関する調査を開始している。また、すでにこの変異株に特化したワクチンの開発にも着手。早ければ来年1月にも生産を開始したい考えだという。
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編集=木内涼子

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