ビジネス

2021.12.09

SmartHR宮田昇始がCEO退任発表 自ら綴ったその理由

SmartHR CEO 宮田昇始(提供=SmartHR)


新CEO決定のプロセス


もちろん、私の一存で決めた訳ではありません。

社外取締役や、オブザーバーを含めた取締役会で3〜4カ月にわたって議論してきました。

結果、最終的に満場一致で芹澤さんが新CEOになることに決まりました。

余談ですが、「CEOを退任します」と言うと、「新CEOはCOOの倉橋さんですか?」と高確率で聞かれます。COO倉橋さんも、芹澤さんCEO案を推していたことを書き添えておきます。

芹澤さん自身もCEOをやりたいと意思表示してくれた

私が言うのも変ですが、SmartHR社のCEOは責任も重く、大変な仕事です。

500名の正社員を雇用し、累計で約240億円ほどの出資も募っています。無料ユーザーを含む登録企業数は4万社以上にのぼり、ユニコーン企業として周囲からの期待も大きい。

しかし、そんな重い責任がのしかかることを承知の上で、彼から自発的に「CEOをやりたい」と言ってくれました。

加えて、会社のカルチャーについて、働き方について、成長を継続させていくことについて、強い意気込みを語ってくれました。

早すぎる退任ではないか?


先週、Twitterのジャック・ドーシーが退任を発表していました。彼らもまたCEOからCTOへのバトンタッチでしたね! 12年前からツイッターを利用しているので、親近感でうれしくなりました。

しかし、時価総額5兆円のツイッターと比べるとSmartHRはとても小さく、まだまだ若い会社です。私が退任する意思決定も、おそらく多くの方が「早すぎるのでは?」と思われると思います。

ただ、SmartHRはこれまでも「早すぎるのでは?」と言われるタイミングで行動を起こして、急成長してきた会社です。いくつか具体例を紹介したいと思います。

1つ目は、私がプロダクトに関する意思決定をバトンタッチしたタイミングです。驚かれるかもしれませんが、そのタイミングは2016年の夏頃。SmartHRをローンチしてわずか半年、社員数もまだ1桁のころです。

2つ目は、SmartHRが評価制度をつくり始めたタイミングです。これも同じく、2016年夏の、社員数1桁のころからです。外部のコンサルの方と一緒に設計をはじめ、社員数が15名になる頃から運用を始めました。

3つ目は、テレビCMのタイミングです。はじめてテレビCMを放映したのは2017年の夏頃。契約した当時のSmartHRは、MRR(月次経常利益)1000万円にも満たなかったと思います。そのタイミングで、銀行口座の残高の約半分、1億円以上かけてテレビCMを決めました。

おそらく、多くのスタートアップのCEOは、プロダクトのローンチから数年間はプロダクトに関わっていると思いますし、評価制度も社員数50〜100名くらいで考え始めるのが一般的なように思います。テレビCMに関しては、いまこれを書きながら自分でも「早すぎるのでは??」と思ってしまいました(苦笑)。

ここで、SmartHR社が重視する7つのバリューの1つ「早いほうがカッコイイ」を紹介します。

“早いほうがカッコイイ

あれこれ悩む前に、動き出そう。まずは荒削りでもOK。最速のアウトプットを心がけ、フィードバックのループを素早く回していこう。

大きな意志決定も、即断即決でいこう。それがチームを加速させ、社会を加速させる原動力になる。”

なので、私達にとっては、早すぎるくらいでちょうどいいですし、これまでは結果もついてきています。紹介した3つの例についても、本当に早めにやっておいてよかったなと心から思っています。

大きな意思決定も、即断即決していくことは、SmartHRの急成長を支える重要なカルチャーになっています。
次ページ > 会社のカルチャーは変わるか?

編集=露原直人

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事