では、輸入した業者は悪意をもって輸入したのでしょうか。じつは、そうと言い切れない部分があるのです。
この発表(大麻成分THCを含有する製品について)に至るまでの経過について説明していきます。
厚生労働省が調査を始めるきっかけは、販売されている製品に関して、厚生労働省に対し何らかの通報が入れられます。これに対し調査が開始されます。調査対象は基本的にTHCの含有に関してとなります。この調査でTHCが検出された場合に「THCが含有しているCBD製品について」という発表がなされるのです。興味深いのは、この発表において「違法だと明言をしていない」こと、「取り締まりの対象であると言っていない」こと、「行政処分や回収命令、業務停止などの勧告もない」という不思議な発表になっていることです。なぜなのかはっきりと分かりませんが、要因として、この調査において論じられる一つの問題があるからかもしれません。
この検査において、厚労省はTHCの検出方法と検出限界値を明らかにしていないのです。つまり、成分分析に関して、「輸入者が採用している方法」と「厚生労働省の採用している方法」を一致させることは不可能なのです。これにより、大丈夫だと思って輸入した製品が、THC検出となることがあるのです。つまり業者が意図的に違法成分を含有した製品の輸入をしたとは言えない理由なのです。
このような状況があることにより、一般消費者も意図せぬ製品を手にしてしまう可能性があるということを知っておいて頂けたらと思います。
CBD製品を購入するときに見るべきポイント
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それでは具体的に、何に着目して製品を選べば良いのか、合法性と安全性に分けて書いていきます。
まず合法性を確認するうえでは、輸入時にきちんと輸入許可を取っているか、食品であれば食品輸入届出が提出されているかを確認します。ただし、ここまでの説明で、これだけでは安心できないということが分かります。
重要なのは、販売業者が公表している「成分分析表」を取得し確認することです。分析は各業者に一任されていますから、有れば良いというものではありません。まずは分析機関がどこであるかを確認します。自社検査である場合は、検出限界や検出方法を有意にコントロールすることができるので注意が必要です。自社でなく、第三者機関に委託し分析表を作成していることが大切になります。
例えば、アメリカの検査機関などで州や連邦、世界的に食品分析として実績ある第三者機関であることが望ましいでしょう。他には、カンナビノイド検査をどのような方法で実施しているか、THCの検出限界値がどの程度であるか確認するのも良いでしょう。製品についているロット番号と、成分分析表が紐づけられているかどうかも見るべきポイントとなります。
それでも、THC含有に関して、絶対の安心を得られるわけではないと思います。しかし、これまでCBD製品を所有していて逮捕起訴有罪になった方はおりません。捜査当局から何らかの状況で合法性を疑われた場合にも、成分分析表を提示することで、自己の正当性を示すことが可能になります。