ソーシャル・エクスペリメントの進化系
これは、実に壮大で痛快な企画だと筆者は考える。広告コミュニケーションの世界では、10年ほど前から、社会実験(ソーシャル・エクスペリメント)という手法が隆盛を極め、多くの名作を生み、効果も発揮してきた。
これは、一般の人たち、数人から十数人に集まってもらい、広告企画に参加してもらった様子をドキュメンタリー映像に収めて、ウェブ動画などで配信する手法だ。
2013年の「リアルビューティ・スケッチ」(ユニリーバ―のスキンケア用品DOVE)や2015年の「ライク・ア・ガール」(P&Gのオールウェイズという生理用品)の企画が有名だ。演技ではない一般の人たちの反応が共感を招き、大きな話題を呼んだ。
今回紹介したルノーの企画も、このソーシャル・エクスペリメントの進化系だと言える。一般の人たちに「集まってもらう」のではなく、村でまるごとルノーのソーシャル・エクスペリメントに参加してもらったわけだ。
動画のなかでルノーは、次のように締めくくっている。
「(電気自動車の日常的使用は)この村でさえできたのだから、世界中どこでもできるはずだ」
このルノーのZOEでの試みは、広告コミュニケーションやビジネスの企画も、社会全体を考えるという大きな視点から発想していく必要があると感じさせてくれる、好例だと言えるだろう。
連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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