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ダイアナ妃(Photo by Anwar Hussein/Getty Images)

新型コロナの影響で、2020年はロンドン、ロイヤル・オペラ・ハウスのクリスマス公演は行われなかったが、今年、2021年は予定通り開催されている。

ロイヤル・オペラ・ハウスのホリデーシーズンの公演は長い歴史を誇るが、中でも1985年にダイアナ妃が、夫にサプライズのダンスを見せたことを知っているだろうか。

実はネットフリックスで2016年より放送されている英国王室を描いたドラマ『ザ・クラウン』のシーズン4で、1エピソードをまるごとを使い、このシーンが再現されている。『ザ・クラウン』は、英国史上最高齢君主であるエリザベス2世の治世がテーマだ。政界実力者との確執、王室のロマンス、そして20世紀後半を彩る歴史的事件の影で葛藤する、生身の女王の姿を重厚に描いた作品となっている。

原作・脚本は『ボヘミアン・ラプソディ』の原案などで知られるピーター・モーガンで、エミー賞とゴールデングローブ賞でドラマ部門作品賞を獲得した大作だ。


「雪崩」の描写の忠実度


『ザ・クラウン』のエピソードには真偽が疑わしいものもあるが、シーズン4のエピソード9「雪崩」で描かれた出来事は、1985年12月、ロイヤル・オペラ・ハウスで開催されたクリスマス公演で本当にあったことだ。

踊った曲は、ビリー・ジョエルのヒット曲「アップタウン・ガール」。ロイヤル・バレエ団のプリンシパルだったバレエダンサーのウェイン・スリープがダンスナンバーに仕立てて、ダイアナ妃と一緒に踊った。チャールズ皇太子へのクリスマスプレゼント代わりに披露しようというアイディアだったが、ほかの観客たちと違って、肝心の夫はこのプレゼントを喜ばなかったらしい──この点も、ドラマ『ザ・クラウン』の描写は真実に忠実だ。

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ダイアナ妃とチャールズ皇太子(Getty Images)

皇太子からサイプライズも


コヴェントガーデンで開催されるクリスマス公演は、いつも伝統に従ってなごやかに進行し、集まった客に多くのサプライズを披露する。ロイヤル・バレエ団のトップダンサーがオペラのアリアを歌い上げたり、有名なテノール歌手がバレエのアダージオを踊ったりして、観客を楽しませるのだ。英国王室のメンバーも、こうした趣向への参加をいやがらなかった。1984年にはチャールズ皇太子とダイアナ妃のふたりでロミオとジュリエットを演じ、皇太子がコミカルな台詞を披露している。

ダイアナ妃の「そっくりさん」?


だが、1985年のサプライズは入念に準備されたもので、以前のパフォーマンスよりも、はるかに本格的だった。このときはダイアナ妃自身がプリマとして踊ったのだ。彼女は少女時代にバレリーナに憧れていたが、背が高すぎたのがネックで(最終的に178センチまで伸びた)、その他大勢の役ばかりだった。結局、スキーでのケガが原因で、バレエのキャリアはあえなく終わってしまった。それでも1985年のクリスマス公演で、彼女は由緒ある歌劇場の舞台で堂々とした演技を披露している。観客は当初、ダイアナ妃の「そっくりさん」ではないかと思ったが、最終的には大喝采を送り、ダイアナ妃は8回もおじぎをして応えた。

翻訳=上原裕美子 編集=石井節子

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