Z世代の消費者が「企業は言行一致を貫かねばならない」と強く考えていることを示すデータは、数多く世に出ている。にもかかわらず、ファッションブランドのコーチと、シューズブランドのミネトンカ(Minnetonka)は2021年10月、その教訓を改めて学ぶ状態になっている。
コーチが非難を受けたのは、テキサス州ダラスにあるショッピングモール内の店舗で、売れ残りや返品された商品に意図的に傷を付けて廃棄していたことが発覚したからだ。だが、高級ブランドが自らの商品を破壊処分した事例は、これが最初ではない。
2018年にはバーバリーが、シーズンの終わりに慣例として、売れ残った在庫を焼却処分していたことが判明し、強い反発を招いた。この件はメディアでも大々的に報じられた。
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ファッションブランドは、サステナビリティに関する理解不足を露呈させるケースが多い。バーバリーに限らず、このような慣行が高級ブランド業界でまかり通っていることが明るみに出たことが、多くの人の怒りに火を付けた。この一件をきっかけに、廃棄物や過剰生産、過剰消費に異を唱える声がこれまでにないほど高まった。
これを受けてフランス政府は、過剰在庫の焼却や破壊処分を禁止する法律を成立させるという極端な手法をとり、2020年2月にこの法律は施行された。最初に起きた騒動から3年が経った今、コーチはなぜ、商品を破壊処分しても誰も注意を払わない、と判断したのだろうか?
今回の件をいち早く伝えたのは、インスタグラムのアカウント「ダイエット・プラダ(Diet Prada)」だ。「売れ残り商品の破壊処分を告発するTikTok動画が拡散、コーチに集まる非難」と題された投稿は、20万以上の「いいね」を集めた。
内容を手短かに説明すると、タイトルにあるTikTok動画は、環境保護活動家が投稿したものだ。その中でこの活動家は、まだ販売可能な商品をごみ収集箱から拾い集める活動をしている女性から購入したという、傷を付けられたコーチの商品を見せている。