バイデン政権の北京五輪「外交ボイコット」が意味するもの

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米バイデン政権は12月6日、2022年に開催される北京冬季オリンピックの外交的ボイコットを正式に発表した。米国は「いかなる外交的な代表団も、代表者らも派遣しない」という象徴的なメッセージを発信する一方で、選手の出場は認めている。

ホワイトハウスのサキ報道官は、「新疆で進行中の大量虐殺や人道に対する罪、その他の人権侵害」を理由に、米国は政府当局者を派遣しないが、米国の選手は五輪への参加を許可されると述べた。

中国外務省の趙麗健報道官は、米国の発表の直前の6日のブリーフィングで、このような動きは「明白な政治的挑発」であり、2月の大会でボイコットが行われた場合には「断固とした対抗措置」を取ると米国を牽制していた。

バイデン大統領は先月、中国の習近平国家主席とオンラインによる初めての首脳会談を行った数日後に、大会の外交的ボイコットを検討していると記者団に語っていた。米国が問題視しているのは、台湾やチベットの状況、香港での人権弾圧、新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル人の大量虐殺や虐待の告発などだ。

オーストラリアやカナダなど、他の数カ国も11月に外交的ボイコットの可能性を検討していた。

バイデン政権の外交的ボイコットは超党派の支持を得ており、ナンシー・ペロシ下院議長や、当初は完全なボイコットを主張していた一部の共和党員からも支持されている。米国による最後の完全な五輪のボイコットは、1980年にジミー・カーター大統領がソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して、モスクワ五輪への不参加を決めたときだった。

中国の趙報道官は、米国のボイコットが「五輪憲章の精神に傷をつけるものだ」とし、米国は「スポーツの政治化をやめるべきだ」と述べた。

ロイターによると、冬季大会は2月に外国人の観客を一切入れずに開催され、選手やスタッフには日ごとの検査が義務付けられる。趙報道官は先月、オミクロン株の出現が「間違いなくいくつかの課題をもたらすだろう」としながらも、中国がオリンピックを予定通りスムーズに、そして成功裏に開催できることを「完全に信じている」と述べていた。

編集=上田裕資

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