「2022年に向けて賃金体系を見直すなかで、我々は、労働市場にあるどんなベンチマークやデータセットも、当社内の特定業務がもつ影響力を反映していないことに気づいた。端的に言って、こうした人々の仕事は、より広い労働市場を見渡すと大幅に過小評価されていた」
キーロフは、公平性をより推進するという目標について説明し、次のように補足した。「我々は、チームのハードワークに報いるとともに、当社の成長とともに不公平な賃金格差が入り込まないよう、ベースライン・フリーダム・サラリーを設定した」
「我々は、当社のすべての従業員が、有意義で充実した人生を送ることはきわめて重要であり、そのためには公平な賃金が不可欠だと考えている。このような取り組みが、他の各社でもポジティブな変化を生み出すよう願っている。特に、職場環境が劇的な変化を迎えている今だからこそ重要な取り組みだと考えている」
フィールドの人事担当バイスプレジデントであるエリン・ショージ(Erin Shoji)は、次のように述べている。「個人の交渉能力や給与履歴などは、構造的バイアスを残存させる要素だが、透明性の高い報酬体系は、こうした要素を排除する。ベースライン・フリーダム・サラリーは、こうした考えを一歩先に進め、日常のさまざまな金銭的な不安を軽減させるものだ」
キーロフの決定は、社員への評価とリスペクトを最大限に示すものだといえる。また、大量離職により人材の争奪戦が激化している現在の労働市場において、採用強化と離職抑制のツールとしても効果を発揮するだろう。
これ以外にも、キーロフは重要な変化に着手している。例えば、「リーダーシップチームの60%を、性自認が女性であるメンバーにし、新規採用エンジニアの50%以上を、性自認が女性である人々とする」ことにより、「男女間のジェンダー賃金格差」の解消をめざしている。さらにフィールドは、創業当初から、フル・リモートワークや、無制限の休暇取得、フレキシブルな勤務時間を提供している。
「透明性」を実現することで、社内で起きていることを誰もが理解し、自分がかけがえのないチームの一員だと感じさせるのが、キーロフのマネジメントスタイルだ。さらにキーロフは「信頼」も重視しており、世界各地で働く社員たちをこと細かに管理しないほうが、より良い成果を達成できると考えている。そして、オフィスで顔を合わせることよりもアウトプットを優先している。