オミクロン株が経済に良い効果をもたらし得る理由

Spencer Platt/Getty Images

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」は、大きな懸念を引き起こした。この懸念が正しいものだったかはそのうち明らかになるだろうが、実際はその逆となる可能性もある。オミクロン株の出現は、経済にとって朗報になるかもしれない。

オミクロン株について分かっていることはまだ少ない。情報が集まるまで待つことは妥当な判断にも思えるが、ビジネスでは日々決断を下さなければいけないことを考えると、そうは言い切れない。そのため、オミクロン株が経済に良いかもしれない理由を考える価値がある。

南アフリカでは、これまで主流だったデルタ株がオミクロン株へ急速に置き換えられているとみられている。今あるデータからは、オミクロン株は感染力が非常に高いことが示されており、世界中でデルタ株と置き換わる可能性がある。

南アフリカではオミクロン株により感染者が急増しているが、死者数は同様の増加を見せていない。ウイルスが変異により危険度を下げるのには理由がある。宿主を死に至らしめるウイルスは、宿主を生かし続けるウイルスよりも増えにくい。これまで存在したウイルスの多くは、軽度なものへと進化していった。ただ、この考え方を過信するべきではないだろう。

オミクロン株は、他の変異株の感染歴がある人に対する感染力が強まるように変異したのかもしれない。新型コロナウイルスは、感染歴がない人を見つけて拡大し続けることができなかったため、以前感染した人を再び感染させる方法を見つけた、という説だ。

経済予測の観点では、ビジネスで指導的立場にいる人々はオミクロン株により良い影響が生じる可能性も考えるべきだ。まだはっきりとはしないものの、今後は危険性が低い変異株が感染の主流となるかもしれない。そうなれば、感染はなくならないものの死者や入院者は減り、人々は外食や旅行に出たり、定期健診や一般的治療を受けたりすることへの安心感が高まる。これは楽観的見通しではあるが、現在あるデータはそれほど悲観的なものではない。

新型コロナウイルスによる影響が大きい企業は、大きな決断は当面見合わせるべきだ。今後数週間で、さらなる情報が出てくることだろう。しかし遅らせることができない決断を下す際に考えるべきなのは、コロナ禍の悪化ではなく、経済が上向く可能性だろう。

編集=遠藤宗生

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