第二次世界大戦時にイタリア海軍特殊部隊が使用するミッションウォッチとして生まれた「パネライ」は、海をルーツとする時計を伝統としている。
既にいくつかのコラボレーションウォッチを発表しているが、どれもが海との深い関係を時計に取り入れてきた。例えばクラシカルなデザインの「ラジオミール」コレクションでは、自社で所有するクラシックヨットのアイリーン号と世界観を共有しており、旗艦コレクションである「ルミノール」では、アメリカスカップに挑戦するイタリアのヨットチーム「ルナ・ロッサ」とコラボレーションモデルを製作している。
そして今年、新たにスタートするのが、ダイバーズウォッチの「サブマーシブル」とドイツのエンジニアリング企業「ブラバス」とのコラボレーションだ。
ダイヤルには自動車好きには有名な、ブラバスの“ダブルB”のロゴマークを掲げる。
ブラバスといえば、まず思い浮かべるのは高級車のチューニング。高性能エンジンの実力を更に引き出し、さらにグラマラスなボディデザインを作り上げる名門だ。しかし実はブラバスは、フィンランドのボートビルダー「AXOPAR(アクソパー)」とパートナーシップを結んでおり、ハイパフォーマンスでスタイリッシュなボートを製作している”海のブランド“としても名を高めている。であるなら、パネライがブラバスの世界観を取り入れるという戦略には違和感はない。
「パートナーシップを結ぶにあたっては、まずそれぞれのコミュニティにとって納得できるストーリーを構築できる相手であることを確かめなければなりません。良いパートナーシップであれば、どうして組んだかをプレスリリースなどで、くどくど説明する必要はない。その商品を見れば、デザイン、マテリアル、技術を通して、その理由を自然と感じとれるものです」と語るのは、パネライCEO、ジャンマルク・ポントルエ。
ブラバスもパネライもそれぞれの分野で際立った個性を発揮しており、熱狂的なファンが多い。そんなお互いのブランドの哲学を、共鳴させるのだ。
時計の心臓部にあたるテンプ部分は、二本のブリッジで固定して耐衝撃性を高める。
その考えは、ブラバス側も同じだ。
「我々もパートナーシップを組む際には、まず企業文化を重要視します。お互いの企業文化が共鳴し合えば、速く前進することができます。今回のコラボレーションは、海が舞台であり、海でのパフォーマンス向上という野心を共有しています。ブラバスは、単に商品にロゴを付ける、ということはしません。“本当に協業して完成した商品”を世に送り出すことが重要です」とブラバスCEOコンスタンティン・ブッシュマンも今回のコラボレーションに、自信を覗かせる。