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電通総研内のクリエイティブシンクタンクによる連載「NEW CONCEPT採集」

イラストレーション=尾黒ケンジ

いま、「バリアブル(=可変的な)ロゴ」という概念を取り入れる企業やブランドが登場している。

従来のロゴマニュアルが示していた、ひとつの決まったかたちがあって、コーポレートカラーはこれで、書体はこれで……とルールを柔軟に塗りかえる、変化するロゴマークだ。ロゴは企業の顔で、アレンジなどNG! という業界の固定観念を、「定型を変えられる」という1ルールで飛び越えてしまった。

このバリアブルという概念が、ロゴ以外の分野にくっついたらどうなるのか。


色や形をみて「あ、あれね」の共通認識を呼び起こす、ロゴにはそれだけの力があります。だからこそ、正しい見た目を保たれるように厳格なロゴマニュアルが存在するのです。

しかし、その定義にとらわれない考え方の「バリアブル(=可変的な)ロゴ」と呼ばれるロゴマークのデザインが、業界を問わずさまざまな企業やブランドから登場しました。

円4つの骨格だけをのこした「Audi」


Audiのロゴが今年3月にリニューアルしたのをご存じでしょうか。まず1点目が、特徴的な円4つの連なりはそのままに、円の太さのバリエーションが増えたこと。それも、毛のように細い線から、マーカーで描いたような極太な線まで、バラエティに富んだ設計がされています。さらに2点目は、トリミングもできるようになったこと。

これらのリニューアルは、例の伝統的なマークがガラッと刷新したわけではなく、ささいなことかもしれません。しかし、実際にそのマークを扱う場面を想像してください。いまやロゴが使われる場所はスマホやPC、その人ごとにもつデバイスにあわせて表示のされ方が違います。そのため、トリミング可のルールはそれに応える柔軟性をもっているとも言えます。

さらに太さを選べるということは、単にデザインの印象を調整するだけでなく、プロダクトにしたときの専有面積を左右します。立体物にするときは折れないよう太いマークを用いたり、印刷物なら細いマークをあしらえばインク量を削減してエコにもつながるかもしれない。細やかなバリエーションが、ロゴを扱うユーザーに快適な選択肢を与えるのです。

企業も生き物です。常に人が変わり環境が変わっていく。ロゴマークが企業の顔だとすれば、あらゆる時々にも柔軟に対応するバリアブルなロゴマークは、外からみても何だか風通しがよさそうだと思いませんか?

そして本来、車にとってのロゴは、世界中を走る1台ずつのエンブレムにまで反映されるとても神聖なモチーフ。そんな大企業が「バリアブル」を取り入れたことは、価値あるニュースだと思います。

文=一森加奈子

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電通総研Bチームの NEW CONCEPT採集

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