中国企業10社の米上場株は、米国の規制当局が外国企業の財務情報開示を強化する動きに乗り出したことのプレッシャーも受けており、1日で800億ドル(約9兆円)以上の下落となった。
北京に本社を置く滴滴は3日、米国での上場を廃止し、香港市場への上場の準備を進めると発表した。これを受けて同社の株価は22%急落し、70億ドル以上の時価総額が吹き飛んだ。
そして、さらなる懸念を引き起こしているのが、米証券取引委員会(SEC)が2日、米国で上場する外国企業への監査の強化を決定し、情報開示に従わない企業に上場廃止を命じることを可能にしたことだ。
ニューヨーク証券取引所に上場するEコマースの巨人、アリババの株価は3日、8%下落して約5年ぶりの安値の112ドルをつけ、時価総額は3050億ドルに落ち込んだ。また、同社の競合のJD.com(京東)とピンドゥオドゥオ(拼多多)も同様に9%の下落で、それぞれ約120億ドルと60億ドルの時価総額を失った。
今回の暴落はさまざまな分野に広がった。オンラインゲーム会社のNetEase(網易)は6%安、電気自動車メーカーのNIOは15%安、検索大手のバイドゥは8%安となった。
米国で上場する中国の大手企業10社の時価総額の合計は3日の市場で、830億ドル減少し、合計の時価総額8500億ドルの10%近くを失った。
中国企業の米上場株は、中国政府が今夏から民間企業に対する広範な規制を発動して以来、大幅に値下がりしている。ニュースレター「ザ・セブンズ・リポート」のトム・エッセイは、直近のレポートで、「中国企には巨大な市場があり、成長の可能性があるのは確かだが、明らかな規制上のリスクがあり、それは月を追うごとに大きくなっている」と書いている。
その懸念を象徴するのが7月に米国でIPOを行った滴滴で、同社の株価は上場後に53%の暴落となっている。さらにアリババの株価も、今年に入り50%暴落した。
米上場の中国大手企業が中心のナスダック・ゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数は3日に8%安を記録し、年初から42%の下落となった。これは2020年3月以来の最安値だ。