経済・社会

2021.12.06 14:30

オミクロン変異株で水際対策強化。英国から帰国、「強制隔離」者の手記

PCR検査終了後、「結果通知」の部屋で自分の検査番号が呼ばれるのを待つ

ヨーロッパでは2021年夏ごろから解禁のムードが強く、ワクチン接種が進んだこともあって、特にEU圏内を行き来して夏休みを過ごしたヨーロッパ人は少なくなかった印象だ。アメリカでもワクチン接種後にハワイなどの国内と行き来する友人の声も多く聞いた。

一方、まだまだ日本から海外は難しいという印象があったが、筆者自身の弟がコロナ下にもかかわらず仕事で中国・武漢に夏に赴任したことや、外国人の友人が日本にいる離婚した妻のもとにいる息子を訪ねて同じく夏に入国したことなどから、渡航自体は検疫などの条件をクリアすれば可能なことは実感していた。

それに加え筆者は、2度のワクチン接種が完了したことと、11月頭に政府の水際対策が緩和されたことを機に(11月末に再度厳格化された)、今になって思うとやや先走って、英国・ロンドンで、11月20日から2週間、知人の家での滞在を計画・実行したのだった。

この記事では、ロンドン滞在中に起きた水際対策強化により影響を受けた、日本出国時・帰国時の手続きの概要について、実体験をもとにレポートする。

関連(後編)記事>>「4つの日課」。英国から帰国した強制隔離者「出所」までの手記


日本出国時には、「ワクチン接種英文証明書」「英国到着後2日目の検査予約」


まずは日本からの出発前に、コロナ前の通常の旅行の準備に加えてしなければならなかったことは、ワクチン接種証明書(英文)を区役所で取得(無料)、英国の“Passenger Locator Form”でアカウントを作成し、英国到着後2日目に行う検査を予約すること、の2つだけだった。

2021年11月20日に日本を出発し、同日に英国に到着。英国では待機や隔離は必要がなく、制限なく外出でき、到着後2日目の検査も陰性だった。

1週間強経った後の11月29日、日本政府はオミクロン株の水際対策として翌日から外国人の新規入国を禁止するとともに、11月上旬に緩和していた入国者の検疫措置の再度厳格化を発表した。

出発時の状況下では、英国に過去14日間滞在歴がある場合は、ワクチン接種証明書があれば、日本帰国後3日間の施設での隔離は免除、自宅での自主隔離10日間(10日目に受ける検査で陰性を証明できた場合、14日間を10日間に短縮可能)が必要となっていたが、この変更により、検疫所施設での待機6日間と自宅での自主隔離が残り8日間の合計14日間の隔離・待機が帰国後に求められることとなった。

「帰国便の前倒し」は断念


筆者はこの変更が12月1日午前0時から実施されることを確認し、まず帰国便の前倒しを検討した。だが、時差により英国のほうが日本より9時間遅いことから、その場で即決して同日のフライトに飛び乗って帰らないと12月1日までに日本に到着できないこと、また、飛行機搭乗にあたっては出国前72時間以内に実施した検査の陰性証明書を提出する必要があり、検査を即予約して同日中に結果をもらうことは不可能ではないが現実的にかなり難しいことが判明したために、帰国日を早めることは断念した。

帰国当日、12月3日。出発前々日にロンドンのクリニックで行ったPCR検査の結果(陰性)を、日本政府所定のフォーマットに記入してもらった紙を携えてヒースロー空港へ。検査は99ポンドで、証明書は検査翌日に発行された(クリニックにより異なる)。

出国時の手続きは特に問題がなく、搭乗客が少ないためか待ち時間もほとんどなくスムーズに進んだ。イギリス時間の午後7時過ぎに出発。日系航空会社の飛行機の搭乗率も10~20%ほどで、筆者の横には誰もおらず、つながっている4席をフルに使って手足を伸ばして就寝できた。
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文=高以良潤子 編集=石井節子

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