オミクロン変異株で水際対策強化。英国から帰国、「強制隔離」者の手記

PCR検査終了後、「結果通知」の部屋で自分の検査番号が呼ばれるのを待つ


午後8時半、到着フロアまで空港フロアを逆走して歩く


結果待ち時間も2時間に及ぼうかという午後7時前にやっと、検査結果の番号が呼ばれ、陰性と告げられてホッと一安心。係員から受け取ったピンク色の証明書(写真4)には番号が振られており、その順番に整列して席に座りなおしてさらに待機。この時間も長く、1時間以上そのままの場所で座って待っていた。


写真4

午後8時半ごろ、到着フロアまで係員の誘導によりフロアを逆走して長く歩いた。手荷物のターンテーブルに到着すると、ベルトコンベアはもちろん完全に止まっており、各自のスーツケースがカートに載せられ、さらに名前と便名が印刷された紙が貼りつけられていた(写真5)。スーツケースに不法持ち込みの食糧などが入っていないかを確かめる犬と係員に荷物を確認された後、税関を通過し、やっとのことでバスに乗り込んだ。バスの席に座って初めて、どこのホテルに隔離されるのかを知らされた。


写真5

検疫所は場合によっては空港からかなり遠い場所にあるホテルが指定されることもあり、その場合は空港を出発して1時間以上バスに揺られることになる。ただ筆者の場合は、幸いにも羽田空港から数分の場所にある、未オープンの真新しい建物のホテルが指定された。午後9時半までにはホテルに到着したものの、チェックインもグループごとで再度待ち時間を要したため、自分の部屋に入れたのは午後10時だった。

チェックイン後、冷たい弁当を──


受付の人から手渡されたのはお弁当と紙パックのお茶で、部屋には電気ケトルはあるが電子レンジもないため、冷たいままのごはんとおかずを食べた(写真6)。イギリス時間12月3日午後4時(日本時間12月4日午前1時)にロンドン・ヒースロー空港にチェックインしてからゆうに21時間、文字通り長い、長い旅だった。


写真6

部屋に入ってからは、オンラインで健康状態を記録するサイトにスマートフォンからログインし、体温と健康状態のアンケートに回答。また、次の日からはmy SOSのアプリに居場所確認のためのビデオ電話がランダムにかかってきた。食事は1日3食冷たいお弁当とお茶が支給された。お弁当に関しては、ハラル食とビーガン食が選択肢として用意されていたことに感心した。

弁当以外のものが食べたい場合はデリバリーサービスを頼むことが可能だが、空港近くのホテルだとメジャーなデリバリーサービスはサービス圏外で、ネットスーパーの配達地域からも外れており、選択肢は限られていたが、すべての手続きが終わってから夜遅くに東京や横浜の違う場所にあるホテルにバスで向かう必要がなかったのはありがたかった。東京23区内の違う場所にあるホテルであれば、コーヒーにいれる牛乳や普段好んで飲んでいる炭酸水、みかんなどの果物を含む食料品を配送してもらうことができたはずだ。

ホテルでの待機1日目(帰国日は0日目)、選択肢が少ないながら羽田空港地域に対応しているデリバリーサービスを見つけ、インドカレーなどを注文した。すぐに届けてもらうことができ、帰国後に初めてあたたかいごはんを食べられたことに、当たり前ながら心から感謝した。
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文=高以良潤子 編集=石井節子

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