最も原点的なBMWモデルといえるかもしれない。全長4.8mののびやかな2ドアボディをもつ「M4クーペ(コンペティション)」は、1960年代の「1500-2」と、70年代の「3.0CS」の系譜につらなる特長をもつ。
モータースポーツで活躍しつつ、スポーツカーメーカーとはちがう、スポーティでエレガントなクルマづくり。それがBMWの独自の立ち位置で、歴代のクーペはそのイメージづくりにおおいに貢献した。
「モータースポーツは一九二〇年代からずっと、BMWのマーケティングと製品開発のキーだった」。かつてBMWジャパンの広報から私に手渡された米国の自動車ジャーナリスト、デイビッド・キーリーによる『BMW物語』(アスペクト刊)にも、そう記されている。
今回のM4クーペの車名にあるように「M」はとりわけスペシャルなモデルを指す。そして、BMWの“スペシャル”とは、サーキット走行のようなモータースポーツを楽しめることを意味しているのだ。
上記の本に、「Mエンジンには魂とキャラクターがある」とした当時のBMWの開発者の言葉が紹介されている。実際M4クーペに乗ると、その言葉が実感としてよくわかるのだ。BMWは電気自動車の実用化で競合にはるかに先んじていた。面白いのは、そこで内燃機関を捨てず、素晴らしい直列6気筒エンジンを開発し、そのエンジンを堪能できる車両をラインナップしているという事実だ。
特に「コンペティション」の名をもつ今回のモデルは、標準車の353kWから375kW(510ps)にパワーアップ。強烈なパワーで、静止状態から時速100km/hまでわずか3.9秒で到達する。より走りを楽しめるように、つまりBMW・Mの真価を味わえるようにつくられている。出来はみごと。クルマは大事な趣味、と言い切れるひとは、ぜひ乗ってみてほしい。
BMW M4 Competition
ボディ外寸|全長×全幅×全高=4805mm×1885mm×1395mm
車両重量|1730kg
駆動形式|FR
最高出力|375kW(510ps)/6250rpm
価格|13480000円
問い合わせ|https://www.bmw.co.jp